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法人税

法人税は会社の利益にかかります

法人税は、会社の所得に対してかかる税金です。
所得とは、売上高から経費を差し引いた金額と考えればいいでしょう。
所有している資産に対して課される税金ではありませんから、いくら多くの不動産や自動車を所有していても、儲かっていない会社には法人税がかかりません。
また、単純に売上高が多いだけで、それ以上に経費がかかっている赤字の会社にも法人税はかかりません。
大きい会社が必ずしもたくさんの法人税を納めているとは限らないのですね。
しかし、ここで注意が必要です。
会社に資金が余っているかどうかは、利益が出ているかどうかとは、あまり関係がありません。
例えば売上が計上されていて利益が上がっていても、代金を回収できていない場合などは大変です。利益が出ていますので、法人税がかかりますが、納税するための資金がありません。その場合、納税資金をどのようにして用意すればいいのでしょうか? 銀行からのローンで賄いますか? 納税資金の借入れは簡単に行える場合と難しい場合とがあります。だからといって、消費者金融からのローンで納税すると言うのであれば、金利負担が重くのしかかります。ローンに頼ることなく、自己資金で納税するのであれば、前もって資金繰り計画を立てておく必要があります。

同時に法人住民税と事業税もかかります

会社は毎年の決算で、一年間の所得(儲け)を計算し、法人税を納めます。
この時、会社は法人税だけでなく、法人住民税(都道府県民税と市町村民税)についても併せて申告し、納税します。
さらに、事業税についても併せて申告・納税しますが、こちらは外形標準課税といって、赤字の会社にも課されることがあります。

法人税は国の税金です

固定資産税のことを税務署に尋ねたところ、「市役所にご相談下さい」と言われたご経験はありませんか? 
税金には、国が課す税金と地方が課す税金とがあります。
そして、会社が納める法人税は、国が課す税金です。
これを国税といいます。
国税には、法人税の他に、所得税、消費税、相続税などがあります。
法人税をはじめとする国税の窓口は、税務署です。法人税の申告書は税務署に提出するのですね。

地方税としての法人住民税

会社が納める法人住民税(都道府県民税と市町村民税)は、地方が課す税金です。
これを地方税といいます。
法人住民税とひとくくりにされることが多いのですが、実際には道府県民税と市町村民税とにわかれています。
申告書もそれぞれ別々ですし、提出先も県税事務所と市役所の2ヶ所にわかれることが一般的です。
あなたの会社が、多くの支店を有している場合には、地方税である都道府県民税と市町村民税は支店のあるすべての都道府県と市町村に提出する必要があります。
全国に支店のある会社ですと、地方税の申告書は何十枚にも及びます。

会社以外の法人税の納税義務者

会社以外にも法人税を納めなくてはならない組織があります。これを、おおきく5つに分類して示せば右ページのとおりです。
 
◎普通法人
普通法人というのは、株式会社や有限会社などです。
最もオーソドクスな組織形態です。合名会社や医療法人なども普通法人です。
 
◎協同組合等
協同組合等とは、農業協同組合(農協)や信用金庫などをいいます。
これらは組合員が協同で事業にあたるという建前がありますので、法的には会社と若干異なります。ただし、法人税は課されます。
 
◎人格のない社団等
人格のない社団等とは、PTAや同窓会などをいいます。
これらは、法律上は法人ではありません。
しかし、儲けようとして活動するのであれば(収益事業)、普通法人と同様に法人税が課されます。
 
◎公益法人等
公益法人等とは、財団法人や宗教法人などをいいます。収益事業には法人税が課されます。
 
◎公共法人
地方公共団体や公庫などの公共法人には、法人税がかかりません。

法人税額 = 所得 × 税率

会社が納める法人税額は、所得金額に税率を乗じて計算します。
所得金額は、ここでは単純に1年間の会社の儲けと考えてください。
では、いったいどれくらいの税率で法人税は課されるのでしょうか?
法人税の税率は、法人の種類によって異なります。
資本金の大きい普通法人でも税率は23.2%です。これを高いと感じますか? それとも意外と低いと感じますか?

法人住民税の税率は?

法人住民税は、均等割と法人税割との合計額で求めます。
均等割の金額は会社の規模によって定められています。
法人税割の金額は、法人税額に税率を乗じて算定します。
均等割額も税率も、都道府県、市町村によって若干異なりますが、一般的な税率は10.4%です。
法人税と法人住民税に加えて、事業税まで考慮した場合の実効税率は、法人の所得に対して、約30%となっています。

所得金額は益金から損金を差し引いて求めます

「法人税額 = 所得 × 税率」という算式を先に解説しました。
この算式中にある「所得金額」は会社の税引前当期純利益に近いものです。
ただし、税法上の課税所得と、会計上の税引前当期純利益とはよく似ていますが、完全には一致しません。
会計上の利益が、収益から費用を差し引いて計算するのに対して、法人税法上の所得は、益金から損金を差し引いて計算するためです。

益金とは

収益と益金はほぼ同じものですが、その範囲は完全には一致しません。
例えば、会社が受け取る配当金は会計上収益ですが、税務上の益金には該当しません。

損金とは

費用と損金もほぼ同じものですが、その範囲は完全には一致しません。
例えば、資産の評価損は会計上費用ですが、税務上は原則として損金には該当しません。
税務上の所得を計算する際には、会計上の利益をベースとして、収益と益金、費用と損金の際を加減して所得を求めます。

同族会社とは?

3人以内の株主によって、株式の50%超を保有されている会社を同族会社といいます。
ここで、「3人」と書きましたが、家族や従業員に株式を持たせることで同族会社からはずれてしまうようでは不公平が生じますので、親族関係や雇用関係等にある人々をひとまとめのグループとして、3つ以下の株主グループによって株式の50%超を保有されているか否かで判定することとされています。

同族会社には厳しいルールがあります

同族会社には、一般的な会社よりも厳しいルールが適用されます。
第1に、法人税の負担を不当に減少させていると認められるものがある時は、その行為・計算を否認できるとされています。これを「同族会社の行為・計算の否認」といいます。
第2に、会社が配当金などの支払いを抑制し、一定限度を超えて所得を留保した場合に、税額が加算されます。これを「留保金課税」といいます。
第3に、同族会社の一定の従業員は、法人税法上は役員に含められたり、使用人兼務役員になれないなど、役員について厳しい取り扱いがあります。

所得税額控除

所得金額に税率を乗じて算定した法人税の額から、一定のルールに従って税額を差し引くことができます。これを税額控除といいます。
税額控除にはいくつもの種類がありますが、ほとんど全ての会社に関係のあるものとして、所得税額控除があります。
一般的に所得税は個人にかかる税金と考えられていますが、会社が受け取る預金利息や配当金については、所得税が源泉徴収されています。
この源泉徴収された所得税は、会社が法人税の申告をする際に差し引くことができます。
これを所得税額控除といいます。

外国税額控除

海外に支店を開設している会社にあっては、外国で所得に対して税金を課されていることがあります。
海外支店の所得については、これに加えて、日本の法人税も課されますので、同じ所得について2重で課税されることになります。
これを解消するために、外国で納めた税額を、日本の法人税の額から控除できる制度があります。
これを外国税額控除といいます。

その他にも色々な税額控除があります

上記以外にも色々な税額控除があります。
例えば、試験研究費の額が増加した場合の法人税額の特別控除などが多くの会社で利用されています。
政策減税としての税額控除がいくつも用意されていますので、節税のためには是非利用したいものです。

商品販売による売上高の計上時期

決算日前後に販売した商品を当期の益金とするか、翌期の益金とするかは実務上非常に悩ましい問題です。
法人税法では、商品販売による売上高の計上時期については、引渡し時点と定めています。
ここで、引渡しがいつの時点であるのかが問題になります。
これについては、出荷伝票作成時、倉庫からの出荷時、船積み完了時、検収時などの基準があります。
会社はこの中から自社にとって適切な基準を選定することになります。
なお、一旦選定した基準を毎期継続して適用することに注意が必要です。

ほとんどの会社は出荷時に売上高を計上しています

ほとんどの会社では、商品の売上高の計上時期として倉庫からの出荷時点を採用しています。
商品の出庫にあたって発行される出荷指示書をもとに、売上高を帳簿上も計上するのです。
検収基準が採用されるのは、据付工事の必要な機械装置や役務提供業などの場合に限定されるようです。
これらの業種では、顧客から受け取った検収報告書などの書類をもとに売上高を計上します。

委託販売による売上高の計上時期

特殊な販売形態をとっている場合の売上高の計上時期については特別の取り扱いが定められています。
委託販売とは、商品の販売を他の業者に委託する取引で、商品を別の業者のお店に陳列して売ってもらうという販売方式をいいます。
法人税法上、委託販売による売上高の計上時期については、原則として受託者が商品を販売した日と定めています。
しかし、遠く離れた受託者において、いつどれだけ販売できたかを委託者において適時に把握できないこともあります。
そこで、委託販売については、売上計算書が委託者に到達した日に売上高を計上することも認められています。

受取配当金が益金に算入されない理由

受取配当金は原則として益金に算入されません。
そもそも、会社は複数の投資家が資金を出し合って設立し営業を行うものです。
そして、会社の営業活動から生じた利益は株主に対して配当金として還元されます。
ここで2重課税の問題が生じます。
つまり、会社で利益に対して法人税を課され、さらに投資家が配当金を受け取ることに対して課税されたのでは、ひとつの事業から得られた利益に2重で課税することになるのです。
そこで、税引後の利益からされる配当金については、これを受け取った投資家において、益金不算入とすることとされているのです。

受取配当金のすべてが益金不算入となるのではありません

ただし、保有割合が低い会社から受け取る配当金については、一部だけが益金不算入とされています。
また、株式取得のために要したとされる支払利息については、益金不算入とされる配当金の金額から控除される場合があります。
さらに、配当計算期間の末日以前1ヶ月以内に対象となる株式を取得し、かつ、配当計算期間の末日以後2ヶ月以内に売却した場合には、当該受取配当金は益金算入されます。

損金が計上されるタイミングは遅い?

費用と損金の違いについては、先に解説しましたが、費用と損金の間には、その計上時期にも違いがあります。
ここでは、損金をどの時点で計上すべきかについて考えてみましょう。
 
法人税の計算をしていると、会計上は費用を計上しなければならないのに、税務上の損金算入の時期は、もっと後の事業年度になってしまうということがよくあります。
ただでさえ安くない法人税ですが、費用がなかなか損金と認められず、いっそう税負担が大きくなってしまいます。
この原因のひとつとして、費用と損金の間に、その計上時期についての根本的な考え方の違いがあることを知っておきましょう。

債務確定主義によって認識される損金

一般に、会計上の費用の計上は、発生主義によって行われます。
発生主義の考え方によると、費用は収益の計上と歩調を合わせて計上されます。収益計上時期とのバランスをとるために、合理的な見積もり計算によって、費用をあらかじめ計上しておくこともあります。
経済実態にマッチした計上時期といえるでしょう
それに対して、税務上の損金の計上は、 販売費、一般管理費その他の費用については、債務確定主義によって行われます。
債務確定主義とは、法的に支払い義務が確定した時点で損金を計上するという考え方です。
経済実態として費用が発生していても、債務が確定していなければ損金を計上することはないのです。
 
◎債務確定のための3要件
(1)債務が成立していること。
(2)具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3)金額を合理的に算定することができるものであること。

発生主義と債務確定主義はどう違うのでしょうか?

発生主義と債務確定主義はどう違うのでしょうか?
発生主義と債務確定主義の違いを理解するために、簡単な例を挙げてみましょう。
両者の違いが、はっきりと現れるのは、引当金の計上時期においてです。
例えば、賞与引当金が良い例です。
会計上、賞与引当金の繰入額は当然に費用として認識されます。
決算月までの労働に対して、決算日後に支給される賞与がある場合は、賞与の支給額を見込んで引当金を計上するのです。
しかし、税務上は賞与引当金の計上が認められません。
賞与の損金算入時期は、従業員に賞与を支給した時点です。
労働という役務提供を受けただけでは、法律上、賞与の債務が確定していないと考えるためです。
税法の考え方は、少し杓子定規に過ぎる感があります。
しかし、納税者間の公平を確保するためには、見積もりの計算を認めない債務確定主義が適していると考えられているのです。

減価償却費も債務確定主義の例外です

固定資産の取得価額を損金に算入する時期も、債務確定主義の原則によれば、固定資産の除却時点ということになります。
減価償却費の損金算入が、一定の条件のもと認められていますが、これは税法が発生主義に歩み寄った結果なのですね。

損金経理とは?

一定の費用を損金算入するために、「損金経理」が条件とされることがあります。
損金経理とは、どのような手続きなのでしょうか?
損金経理とは、決算において費用又は損失として経理することをいいます。
例えば、役員の退職金については損金経理が要件となっていますので、会社が役員退職金を支払ったとしても、決算書に役員退職給与という費用を計上していなければ損金算入できません。
法人税法では、役員退職金以外にも、いろいろな費用項目について、損金経理を条件に損金算入を認めています。
このような制約は、経理上の手続を通して、会社が損金算入する意思を明確に示すことを要求するものです。

損金経理しなくても費用は損金算入できます

法人税法などにおいて、損金経理を求める定めがない支出については、債務確定の3要件を満たしていれば、原則として損金算入されます。
損金経理が要件とされていなければ、損益計算書に費用として計上されていなくとも、申告調整によって損金算入されることになります。
例えば、期中に広告宣伝を行い、その支払いが済んでいるものについて、決算書上「仮払金」の科目を用いて資産計上していたとしても、法人税の課税所得計算においては損金算入されます。
このような支出項目を、絶対損金項目といいます。

売上原価の計算方法

決算にあたっては、売上原価の算定を行いますが、販売した商品や製品の原価をひとつずつ数えて積み上げていくわけではありません。
前期末に所有していた在庫と、期中に購入した商品(又は製造した製品)の取得価額の合計額を、期末在庫と売上原価に振り分ける作業で算定します。
これを計算式で示せば、次のとおりです。
商品売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
製品売上原価 = 期首製品棚卸高 + 当期製品製造原価 - 期末製品棚卸高

期首商品棚卸高と当期商品仕入高は、前期の帳簿と期中の購入の記録から明らかですから、決算の作業において期末商品棚卸高を算定すれば、売上原価の額が求められます。
算式の期末商品棚卸高・期末製品棚卸高の金額が大きくなれば、商品売上原価・製品売上原価(損金)の金額は小さくなります。
反対に、上記算式の期末商品棚卸高・期末製品棚卸高の金額が小さくなれば、商品売上原価・製品売上原価(損金)の金額は大きくなります。
法人税を少なくするためには、期末商品棚卸高・期末製品棚卸高の金額をなんとか小さくできないものかと考えることになります。

「原価法」と「低価法」

棚卸資産の評価基準として、「原価法」と「低価法」の2つがあります。
「原価法」とは、期末時点で保有する在庫を取得原価で評価する方法をいいます。この場合、期末時点で保有する在庫について、取得時から値下がりしていたとしても、その値下がりについて損失を計上することはありません。
一方、「低下法」とは、取得原価と期末時点での時価(時価とは期末時点での取得に通常要する価額です)とを比較して、いずれか低い方の価額で在庫を評価する方法をいいます。在庫の価値が取得時よりも下がっているのであれば、早期に値下がり損失を認識する方法です。
低価法によって棚卸資産を評価すれば、売上前に在庫の値下がり損失を計上することになりますので、毎年の利益は原価法によった場合よりも小さくなります。当然、法人税額も小さくなる傾向にあります。 一般的には低価法が有利な方法であるといえるでしょう。

棚卸資産の評価方法

棚卸資産の評価基準として、原価法を採用した場合でも、低価法を採用した場合でも、決算日までに取得した棚卸資産の取得価額を、期中の売上に対応する部分と期末の在庫に対応する資産とに配分しなくてはなりません。
この配分方法には、6つの種類があります。会社は、このなかからひとつを選択します。
棚卸資産の評価方法は、期末の棚卸資産の評価額を算定するための一定の仮定ですので、実際に商品が選択した方法(例えば先入先出法)によって払い出されているかどうかは関係ありません
 
○個別法・・・・・各在庫を個別に管理するものとします
○先入先出法・・・古い在庫から払い出すものとします
○総平均法・・・・在庫の払い出しを平均単価で行います
○移動平均法・・・在庫の払い出しを平均単価で行います
○最終仕入原価法・最後に仕入れた単価で在庫を評価します
○売価還元法・・・在庫の売価に原価率を乗じて在庫を評価します

取得価額には付随費用を含めます

期中に購入した棚卸資産の取得価額には、購入対価に加えて、付随費用が含められます。
これを算式で示せば、次のとおりです。
棚卸資産の取得価額 = 購入対価 + 付随費用
購入対価だけを取得価額としてしまいがちですが、付随費用を販売費及び一般管理費として、支出した事業年度の経費(損金)として処理することは、原則として認められません。
棚卸資産を購入する時に発生する付随費用としては、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税、検収費、保管費などがあります。
引取運賃などは、運送会社からの請求書でその金額を簡単に把握できますが、保管費に減価償却費が含まれる場合など、その計算が非常に複雑で面倒です。
なお、これらの付随費用うち、買入事務費や検収費のように、棚卸資産取得後に会社内で発生する間接付随費用については、その額が、棚卸資産の購入対価の3%以内である場合には、取得原価に算入しないことも法人税法上認められています。

棚卸資産の評価方法の届出書を税務署に提出します

会社は、棚卸資産の評価方法を選択することができますが、あらかじめこれを税務署に届け出ることが必要です。
届出の方法は、「棚卸資産の評価方法の届出書」を税務署に提出することで行います。 通常は、会社を設立してから、設立第1期の確定申告書の提出期限までに提出します。
もし、届出書を提出しなかった場合には、最終仕入原価法を選択したことになります。最終仕入原価法は、期末在庫の計算が最も簡単な方法ですから、これを選択することで特段の不利益は生じません。
いったん選択した評価方法を変更することも可能です。
評価方法を変更する場合には、変更しようとする事業年度が始まるまでに、「棚卸資産の評価方法の変更承認申請書」を税務署に提出します。 ただし、評価方法の変更はいたずらに許されるものではありません。現在の評価方法を採用してからおおむね3年経過していることが条件とされています。棚卸資産の評価方法を変更することで、毎期の売上原価の額を操作することができないようになっているのですね。

減価償却とは

土地や美術品などは、購入してから何年たっても、その価値が下がることはありませんが、機械などは、取得後10年程度の耐用期間が過ぎると、利用できなくなってしまいます。その場合、機械の取得価額(例えば100万円)は、機械の使用期間(例えば10年間)にわたって、毎年少しずつ費用として認識すべきだということになります。
このように、経年によってその価値が下がっていく固定資産について、毎年その資産計上額を少しずつ費用処理していく経理処理が、減価償却です。
減価償却は、固定資産の利用期間にわたって、取得価額を費用として各事業年度に配分する手続であるといえます。
決算にあたっては、固定資産の減価償却費を計算し、費用として計上するとともに、固定資産の簿価を減ずる処理を行うことが企業会計上は求められています。
これを受けて、法人税法においても、一定の条件を満たす減価償却費については、損金算入が認められています。

減価償却の対象となる資産

減価償却の対象となる資産は、以下に掲げる減価償却資産に限定されます。
◎有形固定資産
1.建物及びその附属設備(暖冷房設備、照明設備など)
2.構築物(ドック、橋など)
3.機械及び装置
4.船舶
5.航空機
6.車両及び運搬具
7.工具、器具及び備品
◎無形固定資産
1.鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し又は採取する権利を含む。)
2.漁業権(入漁権を含む。)
3.水利権
4.特許権
5.実用新案権
6.意匠権
7.商標権
8.ソフトウエア
9.営業権
10.水道施設利用権  など
◎生物
1.牛、馬、豚、綿羊及びやぎ
2.かんきつ樹、りんご樹、ぶどう樹など
3.茶樹、オリーブ樹、みつまた、こうぞ、もう宗竹、アスパラガスなど
なお、これらの資産であっても、棚卸資産は、減価償却資産に該当しません。機械メーカーが自社製品の機械を、完成から販売するまでの期間について減価償却するということはないのです。
また、事業の用に供していない資産も減価償却資産に該当しません。最新鋭の機械を導入したものの、使用方法が分からないため全く利用されず工場の隅でほこりをかぶっているという場合に、その機械は減価償却の対象とならないのです。
一方、固定資産のうち、土地及び借地権、電話加入権、書画骨董(ただし、取得価額が一定額未満の少額のものは減価償却資産として取り扱うことができます)などは、減価償却の対象となりません。

取得価額10万円未満なら消耗品

こまごまとした資産まで減価償却資産として管理するのは会社業務の実態にそぐわない面があります。
そこで、資産の取得価額が10万円未満の少額な減価償却資産については、使用し始めた時点で、その取得価額の全額を損金算入することができるとされています。 多くの会社では、10万円未満の少額減価償却資産を取得した場合には、「消耗品費」など費用の勘定科目を用いて、一時の損金として経理処理しています。
さらに、中小企業者については、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、使用し始めた時点で、その取得価額の全額を損金算入することができます。
取得価額が10万円(30万円)未満であるかどうかの判定は、通常1単位として取引されるその単位ごとに判定します。
使用可能期間が1年未満の減価償却資産も、事業の用に供した事業年度の一時の損金として処理できます。
また、取得価額20万円未満の減価償却資産については、一括償却資産として、3年間で償却する方法を選択できます。もし、会社が取得価額10万円未満の減価償却資産も、即時費用化していない場合には、これも一括償却資産に含めて3年間で償却することができます。
一括償却することとした場合、残存価額をゼロとして償却することになりますので、通常の減価償却を行うよりも損金として処理するスピードは速まります。 また、期中に取得・事業供用開始した資産について、償却費を月割り計算することがありませんから、この点でも損金算入できる償却費は大きく計算できます。 その反面、償却が完了する前に、対象となる資産を除却しても、除却損を損金算入することは税務上認められず、3年間の均等償却を続けていくことになります。

資本的支出と修繕費

固定資産を保有していると、定期的なメンテナンスが必要になります。また、突発的に修繕が必要となることも少なくありません。
これらのメンテナンス費用については、法人税法上、一時の損金として処理できる場合と、固定資産として計上しなければならない場合とがあります。
後者の場合を「資本的支出」といいます。
資本的支出に該当するかどうかは、判断が非常に難しく、実務では多くの会社が頭を悩ませています。
資産の使用可能期間を延長する効果がある支出や、資産の価額を増加させる効果がある支出が資本的支出であると定められていますが、規定が抽象的ではっきりしないのです。
建物や機械設備の修繕にかかるコストは巨額なものとなりがちです。修繕費として一時の損金とするのと、資本的支出として何年もかけて減価償却費を計上するのとでは、毎年の法人税の金額が大きく異なってきます。そのため、税務調査でも必ずチェックされるポイントです。
修理、改良などの支出のうち、固定資産として計上するもの
(1)資産の使用可能期間を延長する効果がある支出
(2)資産の価額を増加させる効果がある支出

減価償却には、複数の方法があります

会社は、複数ある減価償却方法の中から任意に選択できるのですが、減価償却資産の種類ごとに選択できる方法が税法で限定されています。
 
法人税法上選択できる減価償却方法

(1) 平成19年3月31日以前に取得をされた減価償却資産
 建物(下記の建物を除く。)……旧定額法
 建物(平成10年3月31日以前に取得されたもの)……建物の種類ごとに旧定額法又は旧定率法のいずれか一つ
 建物以外の有形減価償却資産……設備の種類ごとに旧定額法又は旧定率法のいずれか一つ
 無形減価償却資産(鉱業権等を除く。)……旧定額法
 鉱業権…旧定額法又は旧生産高比例法のうちいずれか一つ
 営業権……旧定額法
 鉱業権及び国外リース資産以外の鉱業用減価償却資産…財務省令で定める区分ごとに旧定率法、旧定額法又は旧生産高比例法のうちいずれか一つ
 国外リース資産……旧国外リース期間定額法
 牛馬、果樹等の生物……旧定額法
 軌条、枕木等の取替資産……旧定率法、旧定額法又は取替法のうちいずれか一つ
(2) 平成19年4月1日以後平成28年3月31日以前に取得をされた減価償却資産
 建物……定額法
 建物以外の有形減価償却資産……設備の種類ごとに定額法又は定率法のいずれか一つ
 無形減価償却資産(鉱業権等を除く。)……定額法
 鉱業権…定額法又は生産高比例法のうちいずれか一つ
 営業権……定額法
 鉱業権及びリース資産以外の鉱業用減価償却資産…財務省令で定める区分ごとに定率法、定額法又は生産高比例法のうちいずれか一つ
 リース資産……リース期間定額法
 牛馬、果樹等の生物……定額法
 軌条、枕木等の取替資産……定率法、定額法又は取替法のうちいずれか一つ
(3) 平成28年4月1日以後に取得をされた減価償却資産
 建物、建物附属設備及び構築物……定額法
 有形減価償却資産(建物、建物附属設備及び構築物を除く。)……設備の種類ごとに定額法又は定率法のいずれか一つ
 無形減価償却資産(鉱業権等を除く。)……定額法
 鉱業権…定額法又は生産高比例法のうちいずれか一つ
 営業権……定額法
 鉱業用減価償却資産のうち、建物、建物附属設備及び構築物…財務省令で定める区分ごとに定額法又は生産高比例法のうちいずれか一つ
 建物、建物附属設備、構築物、鉱業権及びリース資産以外の鉱業用減価償却資産…財務省令で定める区分ごとに定率法、定額法又は生産高比例法のうちいずれか一つ
 リース資産……リース期間定額法
 牛馬、果樹等の生物……定額法
 軌条、枕木等の取替資産……定率法、定額法又は取替法のうちいずれか一つ

償却方法の選定と届出

会社は、償却方法を選択することができます。
償却方法の選定は、「構築物は定額法、機械は定率法、車両運搬具は定額法・・・」と資産の種類ごとに選定します。会社が2つ以上の事業所を有している場合には、事業所ごとに選定することもできます。この場合、「東京工場の機械は定率法、大阪工場の機械は定額法」という選定が可能です。
届出は、「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署に提出することで行います。
通常は、会社を設立してから、設立第1期の確定申告書の提出期限までに提出します。もし、届出書を提出しなかった場合には、資産の種類ごとに定められている法定償却方法を選択したことになります。

定率法のしくみ

減価償却の方法の中でも、会社がもっとも一般的に採用している定率法についてみてみましょう。法人税法においては、定率法による減価償却費の損金算入限度額を下記のの式で定めています。
償却限度額= ( 取得価額 - 減価償却累計額 ) × 償却率
算式の「減価償却累計額」とは、前事業年度までに損金算入された減価償却費の累積金額です。定率法による減価償却費の計算は、固定資産の未償却残高に償却率を乗じるものです。
定額法の算式と異なり、残存価額を控除することはありません。

定額法と定率法とで計算される減価償却費を比較すると、その金額の推移には大きな違いがみられます。定額法の減価償却費は毎年一定です。一方、定率法による減価償却費は、毎年減少するため、右下がりのカーブを描きます。
償却開始当初の減価償却費を比較すると、定率法で計算した方が大きくなります。このことは、定率法の方が償却が早く進み、税務上有利な方法だといえるでしょう。

減価償却費を損金算入するための要件

減価償却費については、損金算入できる金額の計算が細かく定められていることは先に示しました。 しかし、必要とされることはそれだけではありません。損金算入限度額以内の減価償却費を損金算入するためには、以下の手続要件を満たす必要があります。
 
減価償却費を損金算入するための要件
1.償却限度額以内であること
2.損金経理
3.明細書を確定申告書に添付
 
損金経理とは、減価償却費を費用として経理処理することです。会社が、決算書に減価償却費を費用として計上していない場合は、損金算入できません。 
また、明細書の添付も忘れてはなりません。明細書の書式は税法で定められています。定額法の場合は「別表16(1)」、定率法の場合は「別表16(2)」を添付します。コンピューターの固定資産管理ソフトを利用して固定資産台帳を作成している場合でも、これらの書式に転記して確定申告書に添付することが必要です。

圧縮記帳とは

会社が固定資産を取得する場合に、国から補助金を受けられるケースがあります。国が政策として、特定の固定資産の取得を促進している場合があるのです。
会社が1,000万円の設備投資をするにあたって、国から同額の補助金を受け取った事例を考えてみましょう。
当然のことですが、会社が受け取った補助金は益金として法人税の課税対象となります。もし、法人税等の税率が40%と仮定すると、会社の手許に残る補助金の額は、本来交付された金額の60%だけになってしまいます。これでは、国が会社に対して補助金を交付する効果も60%になってしまいます。補助金に対して法人税が課されるため、補助金を受けても計画通りの設備投資ができないという事態もおこってしまいます。
そこで、会社が受け取った補助金に対して、法人税が課されないための工夫が求められます。
固定資産圧縮損という損失(損金)を計上します。実際に、取得した固定資産に毀損や滅失が生じているわけではないのですが、税額を少なくするためだけの経理上の処理として損失を計上するのです。
その結果、国から受け取った補助金は益金算入されますが、固定資産圧縮損を同額計上して損金算入することで、法人税等がかからないことになります。会社は、受け取った補助金全額を固定資産の取得に振り向けることができます。

圧縮記帳は課税の繰り延べでしかありません

圧縮記帳は会社の税負担を一時的に軽減するものでしかないことに注意が必要です。
圧縮記帳した場合には、固定資産の取得価額を同時に減額します。
このため、毎年計上される減価償却費は、圧縮記帳しない場合に比べて小さな金額となります。
圧縮記帳した事業年度から、機械装置の減価償却が終了する事業年度までの所得金額の累計額を比較すると(残存価額がゼロであると仮定して)、両者は同額となります。
つまり、圧縮損を計上することで一時的に損金算入額が膨らみますが、以後毎年計上する減価償却費の額が減少するため、長い目で見ると、圧縮損は帳消しになってしまいます。このため、圧縮記帳は、課税の繰り延べ効果を有するに過ぎないといえます。
土地のように、減価償却を行わない資産については、減価償却を通じて圧縮損が帳消しになってしまうことはありません。ただし、将来の売却時点において計上する売却益が、圧縮損を計上した金額だけ膨らみます。結局、この場合も圧縮記帳は課税の繰り延べの効果を有するだけです。

制限が多い、役員への報酬

会社で働いているという点では、役員も従業員も同じようにみえます。
ところが、税務上は、両者が厳格に区分されます。なぜなら、役員は会社を経営する人たちですので、個人的な利益と会社の利益とが密接に結びつくケースが多いためです。単純に労働時間を提供する従業員とは、報酬のあり方が異なると考えられているのです。
例えば、中小企業であれば、オーナー社長にとって、個人財産も会社のお金も、どちらも自分のものと考える傾向があります。会社の利益が予想以上に膨らんだ場合には、個人のサイフに利益を移しかえて、会社の利益を圧縮し、法人税の負担を逃れようと考えるものです。
しかし、会社の利益がいくら好調だったとしても、従業員に全額ボーナスで還元するという会社は、ほとんどありません。
その意味で、役員への報酬は、法人税の課税逃れの手段となる可能性を有しているのです。
そこで、法人税法では、このような課税逃れを防ぐために、役員への報酬に一定の歯止めを掛けています。

役員給与の損金算入は条件付き

役員の在任期間中にわたって支給される毎月の報酬やボーナスは、役員給与として税務上の損金算入が厳しく制限されています。
原則として、次の3つのいずれかに該当する場合にのみ損金算入が認められます。
(1)定期同額給与…1月以下の一定期間ごとに毎回同額が支給される給与
(2)事前届出賞与…税務署に事前に届出をし、所定の時期にあらかじめ定めた支給する賞与等
(3)利益連動給与…業務執行役員に対する利益連動給与で、有価証券報告書に記載されるなど一定の要件を満たすもの。

税務上の役員とは

役員という言葉は、一般的に日常会話でも用いられる用語ですが、法人税法では、役員の範囲を厳格に定義しています。
法人税法上の役員とは、法人の取締役、執行役、監査役、会計参与、理事、監事及び清算人並びにこれら以外の者で法人の経営に従事している者とされています。
つまり、会社法などの法律で役員とされている人に加えて、形式上は従業員等であっても、法人の経営に従事している人は、法人税法上は役員として扱われるのです。具体的には、相談役や顧問といった名称で会社の経営に実質的に従事している人が挙げられます。
 
ほかに、同族会社については、使用人について、株式の所有について一定の条件を満たす人は、法人税法上の役員とされることがあります。

同族会社と判定された会社の使用人(従業員)のうち、一定の条件を満たしている人が、その会社の経営に従事している場合には、税務上は役員とみなされます。
 
中小企業のオーナー社長の親戚が、会社に勤めている場合などは、税務上のみなし役員に該当するケースがあるため注意が必要です。 なかでも、オーナー社長の奥さんは、会社の株をまったく持っていない場合でも、役員とみなされる可能性があります。

平取締役に対する賞与は損金算入される部分もあります

役員に対する賞与は原則として損金不算入ですが、例外的に損金算入が認められるケースがあります。
それは、使用人としての職務を有する役員に対し、使用人としての職務に対する賞与を、他の使用人に対する賞与の支給時期に支給する場合に、損金算入が認められるというものです。これを、使用人兼務役員に対する賞与といいます。
取締役になっていても、経営の仕事に特化することなく、営業部長や経理部長としての仕事を併せて行っている人が会社にはいるものです。このような人について、営業部長や経理部長の仕事に対する賞与は、他の使用人に対する賞与と同様に損金算入を認めようというものです。
ただし、使用人兼務役員に該当する役員は限定されています。 まず、社長、専務取締役、常務取締役や理事長などは、使用人兼務役員になれません。そして、役員が、部長や課長などの使用人としての職制上の地位を有していることが必要です。その上で、常時使用人としての職務に従事していなければなりません。さらに、同族会社の役員については、一定の持株基準に該当する場合、使用人兼務役員になれません。
このような条件を満たした使用人兼務役員に対する賞与の全額が損金算入できるわけではありません。他の使用人に対する賞与の支給の状況等に照らして、使用人としての職務に対する賞与として相当であると認められる金額に限って損金算入できることとされています。使用人としての職務に対する賞与として相当であると認められる金額とは、役員ではない人が受け取っている賞与の最高額と考えておけばよいでしょう。

過大な役員報酬は損金算入できません

役員報酬について、不相当に高額な部分の金額は損金算入が認められません。
では、いくら以上の役員報酬が「不相当に高額」とされるのでしょうか?
これについては、判断基準が2つあります。
形式基準と実質基準の2つです。
 
◎実質基準
・役員の職務の内容
・会社の収益
・使用人に対する給料の支給状況
・事業規模が類似する同業他社の役員報酬の支給状況
 ↓
上記の条件に照らし、役員報酬として相当であると認められる金額以内となっていること
 
◎形式基準
株主総会等の決議(又は定款の規定)により定めている報酬限度額以内となっていること
 
2つの基準のうち、実質基準は税法上の定めが抽象的で判断に迷います。
常勤の役員について、使用人と大差ない役員報酬を支給している会社であれば、特段の問題は生じません。ところが、中小企業の中には、オーナー社長の家族が名目上の役員になっているケースがあります。儲かっている会社は、税負担の軽減を狙って、所得を分散させるのです。このような場合には、職務の内容を勘案すると相当低額の役員報酬しか損金算入は認められないでしょう。
国税庁は、毎年「税務統計からみた民間給与の実態」を発表しています。これには、会社規模別・業種別の役員報酬の平均額等が掲載されています。役員報酬決定の実務においては、これを参考にするとよいでしょう。
もう一方の形式基準ですが、これは役員報酬を株主総会などで決議しておくことが求められます。従業員の賃金と異なり、取締役は会社と委任関係にあるため、無報酬が原則です。非常によく頑張ってくれる取締役に、ご褒美として支給されるのが役員報酬です。役員報酬については、定款の規定か株主総会の決議が無ければ、これを支給することはできません。
もし、役員報酬の額について、定款の規定や株主総会の決議が無い場合、役員報酬を会社が支払っても、これは損金算入されません。
通常の会社では、役員報酬の額を定款で規定している会社はあまりないようです。ほとんどの会社では、株主総会で役員報酬の額を決議することになります。通常は、役員報酬の上限額を決議しますので、この上限額に少し余裕を持たせておきます。翌年以降も、株主総会で決議した上限額に収まるようでしたら、改めて決議しなおす必要はありません。注意したいのは、役員の増員などで役員報酬の総額が、以前決議した上限額を超えそうな場合には、忘れることなく役員報酬の上限額を引き上げる決議を行う点です。うっかり忘れると、役員報酬の損金算入されないことになってしまいます。

過大な役員退職金も損金算入できません

役員退職金についても、不相当に高額な部分の金額は損金算入が認められません。
では、役員退職金として、いくらまでが適正かという点が気になります。
しかし、税法はこの点について具体的な規定を設けていません。役員が業務に従事した期間、その退職の事情、同業他社で事業規模が類似する会社の役員退職金の支給状況等から判断するという抽象的な規定があるだけです。
ほとんどの会社では、役員退職金規定を定めています。
役員退職金規定においては、次の算式で役員報酬額を決定することとされているケースが多いようです。
 
役員退職金 = 退職時の報酬月額 × 勤続年数 × 功績倍率
 
上記算式中、退職時の報酬月額と勤続年数は明らかです。問題は、功績倍率をいくらにすればよいのかという点です。
功績倍率の設定についても、同規模の同業他社と比較して平均的な倍率を設定することが望ましいとされていますが、会社の利益を圧縮して、税負担の軽減を狙う会社の場合、この功績倍率を高く設定しようとするわけです。
多くの会社では、代表取締役の場合で3倍程度、平取締役の場合で2倍程度までの水準に設定されているようです。
 
役員退職金については、もうひとつ忘れてはならない注意点があります。
それは、支給した役員退職金を損金経理しなくてはならないという点です。
そのため、役員退職慰労引当金を計上している会社にあっては、役員退職慰労引当金を帳簿上いったん取り崩して、支給する役員退職金相当額について、損益計算書に、役員退職金といった費用を計上しておくことが必要です。
役員退職慰労引当金を取り崩すことなく、残高をそのまま支払いにあてる経理処理は、税務上認められません。

うっかり役員賞与を支給したとされるケースも

役員に対して支給する賞与は、会社の所得計算上、損金の額に算入されないことは、先にも解説しましたが、とりわけ注意したいのは、役員賞与として支給した認識が会社にない場合でも、うっかり役員賞与に該当すると税務上判断されることがある点です。
例えば、役員等に対して物品その他の資産を贈与した場合などは、会社が役員に対して、現金を支給していなくても、経済的利益を供与したものとして取り扱われます。この経済的利益が、定期・定額で供与されているのであれば、役員報酬として損金算入されることとなりますが、臨時的に供与されたものですと、役員賞与となり損金算入されません。
現金で役員賞与を支給していないからといって、安心はできません。

損金算入が認められない交際費

顧客との飲食などは、営業活動を行う上で、欠かすことができないものです。
しかし、企業の交際費の支出を無制限に認めたのでは、接待を目的とした飲食などの経費を計上することで、法人税の負担がいくらでも軽減されることになってしまいます。それでは、税収を確保することも難しくなります。また、浪費とも考えられる接待交際費の支出は抑制することが政策的に望まれます。
そこで、税法上は、交際費の損金算入は限定されています。

税務上の交際費とは

交際費は、会計上はあきらかに費用となりますが、法人税の計算にあたっては、原則として損金に算入されません。つまり、交際費を支出しても税金は少しないということです。
税務上の交際費は次のように定義されています。
 
交際費の定義
交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く。)をいう。
(租税特別措置法第61条の4第3項)
 
上記の条件に合致する支出であれば、経理処理上、たとえば福利厚生費や広告宣伝費や雑費などの勘定科目を用いて計上したとしても、税務上は交際費として扱うことになります。 具体的には、得意先との飲食費やゴルフ料金、中元・お歳暮、お香典・お祝い金など以下のような支出がこれに該当します。
 
税務上、交際費とされる支出の例
(1)会社の何周年記念又は社屋新築記念における宴会費、交通費及び記念品代並びに新船建造又は土木建築等における進水式、起工式、落成式等におけるこれらの費用(ただし、進水式、起工式、落成式等の式典の祭事のために通常要する費用は、交際費等に該当しません)。
(2)下請工場、特約店、代理店等となるため、又はするための運動費等の費用(ただし、これらの取引関係を結ぶために相手方である事業者に対して金銭又は事業用資産を交付する場合のその費用は、交際費等に該当しません)。
(3)得意先、仕入先等社外の者の慶弔、禍福に際し支出する金品等の費用
(4)得意先、仕入先その他事業に関係のある者(等を旅行、観劇等に招待する費用
(5)製造業者又は卸売業者がその製品又は商品の卸売業者に対し、当該卸売業者が小売業者等を旅行、観劇等に招待する費用の全部又は一部を負担した場合のその負担額
(6)総会対策等のために支出する費用で総会屋等に対して会費、賛助金、寄附金、広告料、購読料等の名目で支出する金品に係るもの
(7)建設業者等が高層ビル、マンション等の建設に当たり、周辺の住民の同意を得るために、当該住民又はその関係者を旅行、観劇等に招待し、又はこれらの者に酒食を提供した場合におけるこれらの行為のために要した費用(ただし、周辺の住民が受ける日照妨害、風害、電波障害等による損害を補償するために当該住民に交付する金品は、交際費等に該当しません)。
(8)スーパーマーケット業、百貨店業等を営む法人が既存の商店街等に進出するに当たり、周辺の商店等の同意を得るために支出する運動費等の費用。
(9)得意先、仕入先等の従業員に対して取引の謝礼等として支出する金品の費用
(10)建設業者等が工事の入札等に際して支出するいわゆる談合金その他これに類する費用
 
金額の多寡によるものではありませんから、たとえ500円の手土産であっても交際費の定義に合致する支出は交際費に該当します。

交際費の損金算入限度額

(1) 法人(資本金の額等が100億円超の法人を除く。)が平成26年4月1日から令和4年3月31日までの間に開始する各事業年度において支出した交際費等の額のうち、接待飲食費の額の100分の50相当額を超える部分の金額は損金の額に算入されません。
(2) 資本金等の額が1億円以下である法人については、次の①又は②の金額は、損金の額に算入されません((1)との選択適用)。
① 交際費等の支出額が定額控除限度額以下である場合は零
② 交際費等の支出額のうち定額控除限度額を超える部分の金額
(注) 定額控除限度額とは、800万円に当該事業年度の月数を乗じてこれを12で除して計算した金額。


そのため、会社としては、交際費に該当する経費の支出には、慎重にならなくてはなりません。100万円の交際費を使って、100万円の利益を得たのでは、会社は法人税を負担する金額だけ損をしてしまうのですから。

交際費とまぎらわしい経費

会社が経費として支出する費用項目の中には、交際費とまぎらわしいものが少なくありません。
特に、寄附金、売上割戻し、広告宣伝費、福利交際費、会議費などは、交際費に該当するか否かを判定するのが難しいケースがあります。
たとえば、従業員の忘年会費・慰安旅行費などは、楽しむための飲食や旅行のために支出するものですので、交際費に該当するような気もします。 しかし、これらは、福利厚生のための費用であり税務上の交際費には該当しないとされています。 また、会議のための少額の飲食費も上記の交際費には該当しません。
これらについては、個別の取扱いが定められているものがありますので、以下で費目ごとに検討してみましょう。
 
○寄附金と交際費
金銭でした贈与は、原則として寄附金とするものとされています。
次のような支出は、交際費等に含まれないものとされています。
(1)社会事業団体、政治団体に対する拠金
(2)神社の祭礼等の寄贈金
ただし、寄附金にも、損金算入できる限度額が定められています。交際費にはならなくても、損金算入されないのであれば、結果は同じです。会社の税負担が過大にならないよう、注意しましょう。
 
○売上割戻しと交際費
売上割戻しとは、いわゆるリベートのことです。
得意先である事業者に対し、売上高若しくは売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに金銭で支出する売上割戻しの費用や、得意先の営業地域の特殊事情、協力度合い等を勘案して金銭で支出する費用は、交際費等に該当しないものとされています。
一方、旅行、観劇等への招待が、売上割戻し等と同様の基準で行われるものであっても、その物品の交付のために要する費用又は旅行、観劇等に招待するために要する費用は交際費等に該当するものとされています。
交際費に該当しないためには、金銭で支出することが必要条件となります。
ただし、物品を交付する場合であっても、その物品が得意先である事業者において棚卸資産として販売する物品、固定資産として使用する物品や、購入単価が少額(おおむね3,000円以下)である物品を、売上割戻しの算定基準と同じ基準で交付する場合には、その支出は交際費に該当しないものとすることができます。
営業マンが得意先との、人間関係の潤滑油として旅行に招待するなどの行為はどうしても必要になってくるものです。売上割戻しの相手先や金額については、営業部門が、これを決定しますが、経理部門は、売上割戻しが交際費に該当してしまわないように、営業部門に対して指導することが必要です。
 
○広告宣伝費と交際費
不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図する支出は、広告宣伝費として扱われ交際費に含まれないものとされています。
具体的には、次の支出が広告宣伝費として損金算入されます。
 
税務上、広告宣伝費とされる支出の例
(1)製造業者又は卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するために要する費用又は一般消費者を旅行、観劇等に招待するために要する費用
(2)製造業者又は卸売業者が、金品引換券付販売に伴い、一般消費者に対し金品を交付するために要する費用
(3)製造業者又は販売業者が、一定の商品等を購入する一般消費者を旅行、観劇等に招待することをあらかじめ広告宣伝し、その購入した者を旅行、観劇等に招待する場合のその招待のために要する費用
(4)小売業者が商品の購入をした一般消費者に対し景品を交付するために要する費用
(5)一般の工場見学者等に製品の試飲、試食をさせる費用
(6)得意先等に対する見本品、試用品の供与に通常要する費用
(7)製造業者又は卸売業者が、自己の製品又はその取扱商品に関し、これらの者の依頼に基づき、継続的に試用を行った一般消費者又は消費動向調査に協力した一般消費者に対しその謝礼として金品を交付するために通常要する費用
 
広告宣伝費として取り扱われる支出のポイントは、「不特定多数の者に対する」支出であるという点です。
ですから、旅行や観劇に招待する費用については、オープン懸賞であれば、広告宣伝費として損金算入が可能ですし、得意先のバイヤーを招待する費用は交際費となり、原則として損金不算入となるわけです。
 
○福利厚生費と交際費
創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員におおむね一律に社内において供与される通常の飲食に要する費用や、従業員・その親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用は、福利厚生費として、損金算入が認められます。
福利厚生費として取り扱われる支出のポイントは、全ての従業員に対して一律に支給されるという点です。
一部の管理職が、懇親を目的として飲食や旅行をしても、これは福利厚生費と認められません。

使途秘匿金には、追加的に法人税等が課されます

公共工事を受注するための便宜を図ってもらう目的で、特定の人物に金品を渡すような行為は、多くの場合、法にも触れますし、社会道徳上許される行為ではありません。法人税法上も、このような支出に対しては、ペナルティを課すことになっています。
ここでは、相手方を明らかに出来ない、金品の贈与等について、みてみましょう。

使途秘匿金とは

会社がした支出(贈与、供与その他これらに類する目的のためにする金銭以外の資産の引渡しを含みます)のうち、相当の理由がないのに、相手方の氏名・名称、住所・所在地、支出した事由を、会社の帳簿書類に記載していないものを「使途秘匿金」といいます。
具体的には、公共工事受注の便宜を図ってもらうためのワイロや、談合のための裏金等が、「使途秘匿金」に該当します。これらの支出は、受け取った人の氏名が公になっては困りますので、支払った会社は相手方を決して明らかにはしません。
使途秘匿金を、他の支出と区別する理由は、上記のような社会通念上望ましくないと考えられる支出を排除することにあります。そのため、資産の譲受けその他の取引の対価の支払としてされたものであることが明らかな支出は、使途秘匿金に含められません。また、相手方の氏名等の記載をしていないことが相手方の氏名等を秘匿するためでないと認めるときは、その支出を使途秘匿金に含めないことができるとされています。

使途秘匿金に対する追加課税

使途秘匿金については、損金算入が認められません。
しかも、当該使途秘匿金の支出額に40%を乗じた額の法人税が、追加課税されます。追加課税とは、所得金額に関係なく、法人税を別途計算して、通常の納税額に上積みするものです。
赤字の会社であっても、法人税を納める必要に迫られます。

寄附金も損金算入が制限されます

会社が募金などで金銭等を贈与することがありますが、これについても税法上は一定の制限を定めています。
なぜなら、会社が、特定の団体や個人に贈与することを無制限に認めると、会社の課税所得を自由に圧縮することが可能になり、結果的に国の税収が落ち込むためです。
ところで、法人税法上の寄附金の取扱いは、単純な贈与に限定されません。会社が、時価よりも低い価格で資産を譲渡した場合などにも、寄附金の支出があったものとして課税されることがあります。

税務上の寄附金とは

法人税法上、寄附金とは、寄附金、拠出金、見舞金その他どのような名目であるを問わず、会社が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をすることであると定められています。
ただし、広告宣伝、見本品費、接待交際費や福利厚生費に該当するものは含まれません。
ここで、注意しなくてはならないのは、一般に考える寄附よりも、法人税法上の寄附金は非常に範囲が広いものだということです。
募金するようなケース以外に、誰かに物品をタダであげた場合や、時価よりも安い価格で譲った場合に、本来受け取っていた代金との差額を寄附金と認定するのです。 あるいは、会社が誰かにお金を貸し付けていた場合に、利息を受け取らなければ、原則として、利息相当額が寄附金と認定されますし、貸し付けている金銭債権を免除してあげた場合にも、免除した金銭債権の額だけ寄附金があったものとされてしまいます。
このように、会社が利益を追求しない行動をとると、税務上は寄附金の課税関係が生じてしまうのです。

寄附金は4つに分類されます

法人税法上、寄附金は次の4種類に分類されます。
(1)国又は地方公共団体に対する寄附金
(2)財務大臣が指定した寄附金
(3)特定公益増進法人に対する寄附金
(4)一般の寄附金
(1)国又は地方公共団体に対する寄附金は、直接、国や都道府県、市区町村に対して寄付するものです。災害時に被災者のために新聞社・放送局等が募集する義援金についても、これに該当するとされる場合があります。
(2)財務大臣が指定した寄附金は、公益を目的とする事業を行う法人・団体に対する寄附金のうち、「イ 広く一般に募集されること」と、「ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること」の2つの要件を満たすと認められるものとして財務大臣が指定したものです。 例えば、赤い羽根の共同募金などが、これに指定されています。
(3)特定公益増進法人に対する寄附金は、公共法人、公益法人等のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして定められている法人に対する寄附金で、その法人の主たる目的である業務に関連する寄附金のことをいいます。具体的には、日本私学振興財団や日本赤十字社などに対する寄附金が、これに該当します。
(4)一般の寄附金は、上記(1)から(3)以外の寄附金です。例えば、神社のお祭りに際しての寄進など、一般的にほとんどの寄附金はこれに該当します。 無利息貸付や債権放棄、さらに資産の低廉譲渡など、事業者間の取引で発生する寄附金も、ほとんどがこの一般の寄附金に該当することになります。

寄附金の損金算入限度額

会社が支出した寄附金の内、(1)国又は地方公共団体に対する寄附金と、(2)財務大臣が指定した寄附金については、全額損金算入が認められます。
しかし、(3)特定公益増進法人に対する寄附金と、(4)一般の寄附金については、損金算入が認められる金額に上限が設けられています。
これを、寄附金の損金算入限度額といいます。
(4)一般の寄附金の損金算入限度額は、次の算式で求められます。
損金算入限度額 = ( 資本基準額 + 所得基準額 ) × 1/4
資本基準額=期末における資本等の金額×当該事業年度の月数/12×2.5/1,000
所得基準額=当該事業年度の所得の金額×2.5/100
資本等の金額の1,000分の2.5といいますと、資本金1,000万円の小規模な株式会社の場合で、2万5千円にしかなりません。
また、所得の金額の100分の2.5といいますと、1,000万円に対して25万円です。
この2つの計算で求めた金額の1/4を取るため、寄附金の損金算入限度額は非常に小さいものになってしまいます。
近くの神社のお祭りに寄附する程度の金額は損金算入されますが、関係会社に対して債権放棄する場合のように、少し金額が大きな取引であれば、寄附金の額は、ほとんど損金算入されません。 ですから、関係会社や取引先に対して債権放棄したり、時価を下回る価格で資産を譲渡したり、無利息で資金を貸し付けるなど、経済的利益を相手に与える取引については、法人税等の負担にまで注意をすることが必要です。
(3)特定公益増進法人に対する寄附金については、
{ 当該事業年度の所得の金額 ×(6.25/100)+
期末における資本等の金額 ×(当該事業年度の月数/12)×(3.75/1000)}×(1/2) も、(4)一般の寄附金とは別枠で、上記の算式で求めた金額まで損金算入できます。( 限度額を超える金額は、一般の寄附金の額に含めます )

寄附金は現実に支払いがなければ損金算入できません

寄附金を損金算入するには、実際に支出していなくてはなりません。
他の、一般的な費用は、未払計上することで損金算入されますが、寄附金については、未払計上しても損金算入が認められないのです。
もし、手形を振り出して寄附金を支払った場合は、(実務上あまりみかけませんが、)その手形が決済された時に、寄附金の支払いがあったものとされます。
決算日前後の寄附については、この点に留意しましょう。

損金算入される税金とされない税金

事業を営んでいると、法人税や法人住民税のほかにも、印紙税、固定資産税、事業所税など、たくさんの税金を納めなければなりません。
これらの税金は、損金算入できるものと、できないものとに分かれます。
 
損金算入される税金とされない税金
◎損金算入される税金
固定資産税、都市計画税、不動産取得税、登録免許税、印紙税、自動車取得税、軽自動車税、自動車税、重量税、軽油引取税、事業所税、事業税、消費税(税込経理処理を採用している場合)、利子税、延滞金(納期限延長によるもの)、法人税額から控除されない所得税
 
◎損金算入されない税金
法人税(退職年金等積立金に対する法人税を除く)、延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、過怠税 法人住民税、延滞金(納期限延長によるものを除く)、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、法人税額から控除される所得税 罰金、科料、過料、交通反則金

法人税・法人住民税は損金不算入

法人税や法人住民税は損金に算入されません。
これらは、いずれも会社の所得に対して課される税金です。所得に対して課される税金は、原則として損金算入できません。税額計算のルールがそうなっているのです。税金をいくら負担するか考慮する前の「税引前利益」に対して、一定の税率を乗じて税額を計算することとされています。

ペナルティとしての過少申告加算税や罰金も損金不算入

会社が税務調査で過少申告の指摘を受けることがあります。この場合、本来納付すべき法人税に加えて、ペナルティとしての過少申告加算税や延滞税が課されます。
これらについては損金算入が認められません。
また、罰金、科料、過料を会社が支払った場合、これらも損金算入されません。
その理由は、社会的なペナルティとして課されるものについて、損金算入して税負担を軽減することが、罰金等の本来の目的に反するからです。ペナルティに節税効果があるのでは、罰としての効果が半減してしまいますね。

貸倒損失の計上

売掛金や貸付金などの金銭債権について、回収できないと見込まれるものについては、貸倒処理を行います。
ただし、税務上は、会社の考える回収見込みを無条件で認めてもらえるわけではありません。
税法は、公平であることが求められますので、客観的な基準を設けて、それに合致するものだけ、損金算入することを認めています。
税務上、貸倒損失が認められる金額は、次のの3つのステップで判定されます。
 
STEP1 法律上の貸倒れ
(1)会社更生法、民事再生法、特別清算等によって、切り捨てられることとなった部分の金額
(2)関係者の協議決定によって、切り捨てられることとなった一定の金額
(3)その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額
STEP1では、法的整理や、書面による債務免除による場合の貸倒損失計上です。この貸倒損失については、計上金額を迷うこともありませんし、後日税務調査で問題になることもありません。
 
STEP2 明らかに回収できない債権の貸倒れ
債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒損失を計上することができます。
STEP2は、経済実態として金銭債権が回収できないケースの取り扱いです。税務調査で否認される可能性があるため、実務ではこの判定によって貸倒損失を計上するケースはあまりありません。
 
STEP3 一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ
売掛債権について、
(1)債務者との取引を停止した時から1年以上経過した場合
(2)債権額が取立てのための旅費その他の費用に満たない場合で、債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がない場合
※STEP3の場合、備忘価額を控除した残額を貸倒れとします。
このSTEP3は、売掛債権についてのみ適用される取り扱いです。貸付金などには適用がありません。

貸倒引当金とは

売掛金や貸付金などの金銭債権について、明らかに回収できない場合には、上記のように貸倒損失を計上します。
ところが、貸倒損失を計上するほどではない状態の金銭債権もあるでしょう。
回収できない可能性が高いけれど、まだ貸し倒れると決まったわけではない状態の金銭債権です。
また、決算の時点では、倒産するとは予測できない債務者でも、急に倒産することがあります。健全な金銭債権についても、一定の確率で回収不能に陥ります。
このような将来の貸し倒れに備えて、会計上は貸倒引当金を設定します。
 
翌期以降に発生すると見込まれる貸し倒れについて、会計上は貸倒引当金を計上します。
具体的には、金銭債権の評価減を行い、同時に貸し倒れによって生じる費用もあらかじめ計上しておきます。
このような貸倒引当金を設定した場合に生じる費用項目「貸倒引当金繰入額」は、一定の要件を満たした場合に、損金算入が認められます。

前払費用は時の経過に応じて損金とするのが原則

支払家賃や支払保険料など、会社が支払う経費の中には、一定期間分の役務提供にかかる経費を前払いするものがあります。
この前払いを、前払費用といいます。
前払費用については、その役務を受ける期間に対応して損金に計上することが原則です。

短期前払費用だけに認められる取り扱い

前払費用のなかでも、支払った日から1年以内に役務提供を受けるもの(短期前払費用)については、特別な取り扱いが定められています。
短期前払費用については、支払った日の属する事業年度の損金に算入することができるのです。

単なる経費の前払いは損金算入できません

注意すべき点は、経費の前払いがすべて支払った日の属する事業年度の損金に算入できるのではないという点です。
たとえば、テレビコマーシャルの対価を半年分まとめて前払いした場合に、短期前払費用の取り扱いは適用されません。なぜなら、テレビコマーシャルの対価の前払いは、単に代金を先にしはらっただけで、時の経過に伴い費用が発生する役務提供にかかる前払費用とは厳密に区分されるためです。

赤字を10年間繰り越せます

会社を経営していると、黒字の年もあれば赤字の年もあります。
法人税の申告にあたっては、会社の赤字を繰り越すことができます。
繰り越す赤字のことを繰越欠損金といいます。

青色申告している会社は、赤字の出た事業年度の翌期以降10年間にわたって繰越欠損金を損金に算入できます。
白色申告している場合には、上記の繰越欠損金が認められませんが、災害により損失が生じた場合に限って、災害損失金を繰り越すことができます。
また、破産等により会社が役員等から私財の提供を受けた場合には、上記の欠損金以外の損失金であっても損金算入することができます。

赤字の事業年度は前の年の法人税の還付を受けられます

欠損金を繰り越さず、前年に繰り戻して納めた法人税の還付を受けることもできます。
これを繰戻還付といいます。
ただし、現在では一定の中小企業者などを除いてこの繰戻還付を受けることはできません。
国の財政事情が厳しいため、繰戻還付の制度を一時的に停止しているのです。

法人税申告書の様式

法人税額の計算は、所得金額に税率を乗じることで行います。
また、所得金額の計算は、会社の決算書に記載された利益金額をもとに、収益と益金の違い、費用と損金の違いを調整することで行います。
法人税額の計算を行うページが、別表1とよばれる様式です。
別表1は右ページのとおりです。かなり精緻に作りこまれた表計算といえるでしょう。
所得金額の計算を行うページは、別表4とよばれる様式です。
別表4では、会社が損益計算書に記載した当期純利益の金額から計算をスタートします。
ここに、損益計算書には収益として計上されていない益金や、費用として計上されているものの損金に算入されない金額を加算します。
反対に、収益に計上されているものの益金に算入されない金額や、費用として計上されていない損金を減算します。
このような調整を経て、所得金額が求められます。
別表5(1)は、別表4で加減算した項目のうち、翌期以降に繰り越される項目(留保項目)について、費目ごとにその増減を記載します。

事業税と道府県民税の申告書

事業税と道府県民税の申告書は、このような様式です。
→https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shomei/houjin/6a.pdf
事業税の申告書は様式の左側の部分です。 平成16年より事業税には外形標準課税が導入され、資本金1億円超の会社は、所得だけでなく、付加価値と資本等の金額に応じた事業税を納める必要があります。資本金1億円以下の会社にあっては、外形標準課税の適用はありませんので、従来どおり所得金額を課税標準とした申告を行うことになります。
道府県民税の申告書は、様式の右側の部分です。 道府県民税は、法人税の額を課税標準とする法人税割の計算と、会社規模に応じて納める均等割の計算を行います。
なお、東京都の特別区内に会社(支店)がある場合には、道府県民税と市町村民税とをあわせた都民税の申告を行います。他の都道府県と違って申告書作成の手間が省けます。

市町村民税の申告書

市町村民税の申告書は、このような様式です。
→https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000075/75655/02.10kakutei.pdf
市町村民税は、法人税の額を課税標準とする法人税割の計算と、会社規模に応じて納める均等割の計算を行います。

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