会社様に節税対策のご提案。
まじめに税金を考えます。

消費税

事業者が預かった消費税を国に納める

スーパーマーケットで買い物をする場合をイメージしてください。
お客さんとして、スーパーマーケットで買い物をする時、我々は本体価格に5%の消費税を上乗せして支払っていることを知っています。
スーパーマーケットは、お客さんから受け取った消費税を、後日、国に納税します。
ただし、スーパーマーケットは、預かった消費税の全額をそのまま国に納付するのではありません。
スーパーマーケットは、卸問屋から商品を仕入れてきたときに、仕入代金の5%の消費税を支払っています。
スーパーマーケットが仕入時に卸問屋に対して支払った消費税は、卸問屋が国に消費税として納めます。
そこで、スーパーマーケットは売上時に受け取った消費税から、仕入時に支払った消費税を差し引いた差額だけを国に納めます。

支払った税金の方が多ければ国から返してもらえる

まれに、事業者がお客さんから預かった消費税よりも、仕入などで支払った消費税の方が多い場合があります。
この場合、事業者は国から消費税を払い戻してもらうことができます。
仕入税額控除の項で詳しく解説しています。

消費税の対象は国内課税取引と外国貨物の引取り

消費税の対象となる取引には2種類あります。
ひとつは、国内課税取引です。
国内において事業者が行った資産の譲渡等には、消費税が課されます。
もうひとつは、保税地域から引き取られる外国貨物です。
外国貨物を保税地域から引取るためには、その引取りのときまでに申告書を提出し、消費税を納付しなければならないこととされています。

輸出は免税取引

消費税は、日本国内での消費に対して課税することが想定されています。
そのため、輸出取引は免税とされています。
ですから、自動車や機械を海外に輸出しても、事業者は消費税を納める必要がありません。

非課税取引と不課税取引

輸出のような免税取引以外にも、消費税のかからない取引があります。
土地の譲渡や利子、社会保険医療などです。
また、配当金など、「資産の譲渡等」に該当しない取引は、課税対象外(不課税取引)となります。

国内課税取引の納税義務者は課税取引を行う事業者

事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、消費税を納める義務があります。
また、事業者は確定申告書を税務署に提出しなければなりません。
事業者には、個人で事業を行っている者と会社などの法人が含まれます。
ただし、基準期間(2年前の事業年度)の課税売上高が1,000万円以下の事業者等については納税義務が免除されます。

輸入取引の納税義務者は事業者に限定されない

一方、外国貨物を保税地域から引き取る者は、事業者であるか否かにかかわらず、消費税の納税義務者となります。
国内取引の納税義務者とは全く異なる取扱いですから、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であろうと納税義務者になります。
サラリーマンが、自分で利用したり飲食する目的で海外から輸入(購入)する商品についても、外国貨物を保税地域から引取る者に該当する場合には納税義務者となります。

消費税の税率は7.8%

消費税の税率は7.8%で 、地方消費税の税率が2.2%です。
合計が10%となっています。

2年前の課税売上高が1,000万円以下なら納税義務免除

事業者のうち、2年前の課税売上高が1,000万円以下である者については、国内課税取引についての消費税を納める義務が免除されます。
納税義務を免除された事業者はお客さんから預かった消費税を、国に納めず、自分のものにすることができます。
ただし、 2年前の売上高が1,000万円以下である事業者でも、前事業年度の上半期における課税売上高が1,000万円を超えるときは、納税義務が免除されません。

基準期間とは

基準期間とは、個人事業者については、課税期間の前々年をいいます。
会社などの法人については、課税期間の前々事業年度をいいます。
法人の前々事業年度が1年未満である場合には、基準期間の課税売上高を1年分に換算して上記の判定を行います。
個人事業者についてはそのような調整は必要なく、年の途中で開業した場合などには少ない課税売上高で判定されます。

課税売上高とは?

課税売上高には、一般商品の国内販売高のほかに、輸出売上高を含みます。
輸出取引は、消費税が免税となることを解説しましたので、少し疑問に思われるかもしれません。
実は、輸出取引は税率がゼロ%で消費税がかかる取引として扱われています。
ゼロ%で課税されているので、輸出売上高は課税売上高に含まれるという理屈になります。
ただし、土地の譲渡や住宅の家賃など、非課税取引に分類される売上高は、課税売上高に含まれません。
また、配当金などの不課税取引(課税対象外)に分類される収入も、課税売上高に含まれません。

課税売上高に消費税額は含まれる?

原則として、上記の課税売上高には、消費税及び地方消費税の金額は含まれません。
1,000万円以下か否かの判定は、税抜きの金額で判定することとされています。
ただし、基準期間において免税事業者であった場合には、消費税及び地方消費税相当額を含めた金額で判定します。

前事業年度(前年)の上半期の課税売上高による判定

以前は原則として、基準期間における課税売上高が1,000万円を超えるか否かによって課税事業者になるかどうかが判定されてきました。
ところが、これでは、2年前の課税売上高が少なければ、その後に課税売上高が増加した場合にも消費税の納税義務を免除されるという点が制度上の問題点であるという指摘がありました。
そこで、基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるときは、その年または事業年度の納税義務が免除されないことになりました。特定期間とは、原則として前事業年度(前年)の上半期をいいます。
なお、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えているか否かを判定するにあたっては、実際の課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。

高額特定資産を取得した場合の特例

後述の簡易課税ではなく、一般課税による課税期間中に課税事業者が高額特定資産の仕入れ等を行った場合、高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から、その高額特定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの課税期間においては、基準期間における課税売上高と特定期間における課税売上高の両方が 1,000万円以下であったとしても納税義務が免除されません。
なお、高額特定資産とは、一の取引の単位につき、課税仕入れに係る支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産をいいます。

課税事業者でないと還付を受けられない

基準期間の課税売上高と特定期間の課税売上高の両方 が1,000万円以下に収まっていれば、原則として免税事業者になります。
通常ですと、免税事業者は消費税を納税しなくていいわけですから、有利です。
ところが、仕入にかかる消費税が、売上にかかる消費税よりも大きい場合は、話が変わってきます。
このような場合に、消費税の還付を受けられることは、既に解説しました。
ただし、消費税の還付を受けるためには、課税事業者でなければなりません。
そこで、基準期間の課税売上高と特定期間の課税売上高の両方が1,000万円以下の場合でも、事業者が選択することで、課税事業者になることができることとされています。
とりわけ、ビルを購入したり、工場を新設するような多額の支出をする事業年度については、仕入にかかる消費税額が大きく膨らみみますので、課税業者になることを必ず検討しておきましょう。

課税事業者になるための手続き

基準期間の課税売上高と特定期間の課税売上高の両方 が1,000万円以下に収まっている場合に、課税事業者になることを選択するためには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出します。
この届出書の効力は、提出した日の属する課税期間の翌課税期間とされていますから、前もって提出するよう注意しましょう。

免税事業者に戻るための手続き

消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になることを選択した後、免税事業者に戻るためには、「消費税課税事業者選択不適用届出書」を提出します。
ただし、消費税課税事業者選択届出書を提出して課税事業者となった事業者は、事業を廃止した場合を除き、提出日の属する課税期間の翌課税期間の初日から2年を経過する日の属する課税期間の初日以後でなければ、この届出書を提出することはできません。
つまり、2年間は課税事業者のままでいなければならないということです。
また、調整対象固定資産を取得した場合、課税事業者のままでいなければならない期間が延びる制度改正がありました。

相続があった場合の納税義務免除の特例

相続によって事業を承継した場合には、特別な規定がおかれています。
相続によって被相続人の事業を承継した年については、基準期間となる前々年の被相続人の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、相続のあった日の翌日から消費税の納税義務が免除となりません。
また、相続によって被相続人の事業を承継した年の翌年及び翌々年については、被相続人のその基準期間の課税売上高と相続人のその基準期間の課税売上高の合計額が1千万円を超える場合に、消費税の納税義務が免除となりません。

合併があった場合の納税義務免除の特例

合併があつた場合についても、特別な規定がおかれています。
被合併会社の過去の課税売上高が一定額を超える場合には、合併のあった事業年度の消費税の納税義務が免除となりません。
また、合併の翌事業年度及び翌々事業年度についても、合併法人と被合併法人の基準期間の課税売上高を合算して1,000万円を超えるかどうかの判定を行います。
 
上記の他、会社分割があった場合についても、分割された会社の課税売上高を加味して納税義務免除の特例の適用を判断する規定が設けられています。

基準期間がない法人の納税義務免除の特例

その事業年度の基準期間がない法人のうち、当該事業年度開始の日における資本金の額が1,000万円以上である法人については、納税義務免除の特例が適用されず、課税事業者となります。
そもそも、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の事業者について消費税の納税義務が免除されるのは、事業者の規模が小さいことが理由でした。
ですから、資本金の額から、小規模な法人ではないことが明らかな場合にまで納税義務を免除するべきではないとの考えからこのような取扱いが規定されています。
基準期間がない法人について、資本金の額が1,000万円以上であるかどうかは、事業年度開始時の資本金の額で判定することとされています。
事業年度末時点の資本金の額ではありません。
そのため、基準期間がない課税期間中に増資を行い、増資後の資本金の額が1,000万円以上になったとしても、増資を行った課税期間については、納税義務は免除されたままです。

課税対象となる国内取引の定義

事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき消費税を納める義務があると消費税法で定められています。
そして、上記の課税資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供のうち、非課税取引以外のものをいうとされています。
これらをまとめると、次の6つの要件を満たすものが、消費税の課税対象となります。
(1)日本国内で行われた取引であること。
 →アメリカ国内で行われた取引に日本の消費税はかからない
(2)事業者が行った取引であること。
 →サラリーマンが受け取る給料に消費税はかからない
(3)事業として行ったものであること。
 →個人事業者が自宅を売却する取引に消費税はかからない
(4)対価を得て行った取引であること。
 →自宅を子供に贈与しても消費税はかからない
(5)資産の譲渡、貸付並びに役務の提供に該当すること。
 →配当金には消費税がかからない
(6)非課税取引でないこと。
 →土地の譲渡は(1)から(5)の要件を満たすが、非課税取引とされているため消費税がかからない

対価を得て行われる取引とは

(4)対価を得て行われる取引であることが、課税対象取引となる要件のひとつであることは前項で解説しました。
この「対価を得て」とは、資産の譲渡などにあたって、反対給付を受けることを意味します。
例えば、親が子に財産を無償で贈与するような場合は、反対給付を受けませんので、「対価を得て」という要件を満たしません。
ですから消費税の課税対象となりません。

会費に消費税がかからない理由

(5)資産の譲渡、貸付並びに役務の提供に該当することが、課税対象取引となる要件のひとつであることを解説しました。
ところで、実務上はこの要件を満たしているかどうかの判定に頭を悩ませることが少なくありません。
たとえば、同業者団体が会員等から受け取る会費については、消費税の課税対象となりません。
これは、同業者団体が会員等に提供する役務が、「資産の譲渡、貸付並びに役務の提供」に該当しないとされているためです。
会員等に提供する役務と、受け取る会費との間に明白な対価関係がないためです。

13種類の非課税取引

事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供であっても、消費税がかからない取引が13種類定められています。
その内容は、次のとおりです。
(1)土地の譲渡及び貸付け
 借地権など土地の上に存する権利を含みますが、一時的に使用させる場合などは除かれます。
(2)有価証券等の譲渡
(3)利子、保険料等
(4)切手、印紙、商品券等の譲渡
(5)行政手数料、外国為替業務
(6)医療費
 公的な医療保険制度に基づく部分
(7)介護サービス、社会福祉事業等
(8)助産にかかる資産の譲渡等
(9)埋葬料、火葬料
(10)身体障害者用物品の譲渡、貸付等
(11)学校の授業料、入学金等
 学校教育法の規定による学校の授業料が非課税。カルチャースクールなどの授業料は非課税とならない。
(12)教科用図書の譲渡
(13)住宅の貸付
  
医療費や授業料など社会性の高いものについては、消費税が課されないこととされています。経済的に弱い立場にある人たちにとって消費税の負担が過度にならないようにとの配慮からです。
また、有価証券や支払い手段などの譲渡についても非課税とされています。これは、消費税が最終消費にかかる税金であるという性格にそぐわないためです。
土地の譲渡が非課税取引であることは、ご存知の方も多いでしょう。マンションを購入する際の契約書には、土地部分の金額と建物部分の金額とが記載されていますが、建物部分にのみ消費税がかかっています。土地部分については消費税がかかりません。

輸出免税

輸出取引は、消費税がかからないという点で非課税取引とよく似ています。
しかし、消費税法上は、輸出高は課税売上高に含まれ、税率ゼロ%で課税される取り扱いになっています。
事業者が国内において行う課税資産の譲渡等のうち、輸出取引については消費税が免除されます。

輸出業者は消費税の還付を受けられる

事業者が納める消費税の金額は、消費税額 = 課税売上にかかる消費税額 - 課税仕入にかかる消費税額 という算式で求められます。
輸出取引は、税率ゼロ%の課税売上として扱われますから、課税売上にかかる消費税額はゼロになります。
その一方で、国内で仕入れた商品については課税仕入にかかる消費税額が仕入金額の10%分発生しています。
そのため、輸出取引については、事業者が納める消費税額がマイナスとなります。
輸出業者は消費税の確定申告をすることで、仕入れにかかった消費税額の還付を受けることができるのです。
ただし、消費税の還付を受けるためには、当該事業者が課税事業者でなければなりません。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には、あらかじめ「消費税課税事業者選択届出書」を提出し、課税事業者になっておくことが必要です。

国内取引の課税標準

国内取引を課税取引、非課税取引、免税取引、不課税取引の4種類に分類した場合に、消費税の対象となるのは課税取引です。
消費税の課税標準は、この課税取引の金額であり、これを消費税法では少し難しい表現で、「課税資産の譲渡等の対価の額」と定めています。
なお、「課税資産の譲渡等の対価の額」には消費税等相当額を含みません。そこで、税込みの課税売上高に100/110を乗じて課税標準額を求めます。
課税標準額 = 課税売上高(税込み) × 100 / 110
消費税の経理処理方法として税抜経理方式(売上高と仮受消費税とに分けて計上する経理方式)を採用している場合には、帳簿に計上されている売上高と仮受消費税とを合計して、税込みの課税売上高を求めます。

次に消費税額を計算する

課税標準額を計算したら、次に消費税額を計算します。
国税である消費税の税率は7.8%ですので、課税標準額に7.8%を乗じます。
消費税額 = 課税標準額 × 7.8%

軽減税率 飲食料品と新聞の譲渡は税率が8%

2019年10月1日に消費税率が10%に引き上げられるのと同時に軽減税率制度が導入されました。
軽減税率制度は、酒類外食を除く飲食料品の譲渡と定期購読契約が締結された新聞の譲渡について、消費税の税率を10%より2ポイント低い8%(消費税率が6.24%、地方消費税率が1.76%)にする取り扱いです。

区分経理と区分記載請求書等

飲食料品の売上や仕入がある課税事業者は、取引ごとに税率を区分して経理することが必要になります。
さらに、請求書等についても、これまで記載されていた事項に加えて、軽減税率の対象品目である旨と、税率ごとに合計した対価の額を記載した区分記載請求書等を交付・保管することが必要となりました。

課税売上高から控除される税額

ここからは、控除される税額についてみてみましょう。
課税売上高にかかる消費税額から控除する項目は、次の3つがあります。

1)控除対象仕入税額
2)返還等対価に係る税額
3)貸倒れに係る税額

これらの3項目のうち、一般的に最も金額が大きく重要性が高いのは、1)控除対象仕入税額です。

控除対象仕入税額の計算には2つの方法がある

控除対象仕入税額の計算方法には2種類あります。
ひとつは、一般課税と呼ばれる原則的な方法です。
もうひとつは、簡易課税と呼ばれる方法です。
簡易課税は、中小事業者にのみ選択が認められている方法です。

控除対象仕入税額の計算の流れ

一般課税による控除対象仕入税額の計算手順をみてみましょう。
まず、課税売上割合を計算します【1】。
課税売上割合は次の算式で求めます。
 
課税売上割合 = (課税売上高 + 免税売上高)÷(課税売上高 + 免税売上高 + 非課税売上高)
 
資産の譲渡等の金額に占める、非課税売上高の割合が大きくなればなるほど、課税売上割合は下がります。
次に、課税仕入れの集計を行います【2】。
課税仕入れの集計は非常に手間のかかる作業です。
課税仕入れの集計が完了したら、課税仕入れに係る消費税額を計算します【3】。
 
課税仕入れに係る消費税額 = 課税仕入高(税込み) × 7.8 / 110
 
最後に、控除対象仕入税額を求めます【4】。
原則として、【3】で求めた全額が控除対象仕入税額となります。
ところが、その課税期間の課税売上高が5億円を超える(12か月換算で)場合と、課税売上割合が95%未満の場合には、【3】で求めた金額の一部だけを控除対象仕入税額とするための調整計算が必要です。
これには、個別対応方式と一括比例配分方式の2つの方法があります。

課税仕入れ集計の実務

控除対象仕入税額の計算の中心は、課税仕入れの集計作業です。
実務上は、消費税の確定申告の時期になって初めて課税仕入れの集計を始めるということでは、事務作業の量が膨大になってしまいます。
そこで、ほとんどの会社では、事業年度当初から、日々の取引を会計ソフト等に入力する際に、それぞれの仕入取引が課税仕入に該当するか否かを記録していきます。
こうすることで、消費税の課税期間終了後、会計ソフトが自動的に課税仕入れを集計してくれます。

課税仕入れとは

課税仕入れとは、事業者が事業として他の者から資産を譲り受け、借り受け、又は役務の提供を受けることをいうと消費税法で定められています。
「事業として」という条件がありますので、個人事業者が家事消費するために購入した場合などは、課税仕入れに該当しません。
また、「他の者」は課税事業者に限定されていませんので、免税事業者や消費者から購入した場合であっても課税仕入れになります。
消費税を納めない者から仕入れても、消費税相当額が控除の対象となるのは少し違和感があるかもしれませんが、付加価値に課税するという消費税の性質からそのような取扱いになっています。

課税取引か否かを判定する

仕入取引については、課税取引であるか否かを判定することが必要です。
取引は課税取引、非課税取引、免税取引、不課税取引の4種類があることを解説しました。
売上高については、課税売上割合を判定する必要があるため、各取引が上記4種類のうちいずれに該当するかを厳密に判断しなくてはなりません。
消費税がかからない取引であっても、免税取引と非課税取引とでは課税売上割合が異なるためです。
しかし、仕入取引については、そのような厳密な区分は重要ではありません。
必要なのは、各取引に消費税がかかっているかどうかを判定することです。

仕入取引の課税非課税判定は難しい

各仕入取引について、課税取引であるか否かを判定するためには、消費税法と通達を細かく理解していなければなりません。
ただし、通常は伝票を起票するすべての人が、消費税法に精通しているとは考えにくく、次のような判定の一覧表を作成しておき、それぞれの取引がどれにあてはまるかを確認する方法がとられています。
仕入高
一般的な商品・製品・・・課税
不動産業者等の土地の仕入・・・非課税
輸入時の関税・・・不課税
人件費
一般的な給料・賞与・・・不課税
一般的な退職金・・・不課税
通勤手当・・・課税
現物給与(会社の製品などを支給)・・・課税
人材派遣報酬・・・課税
健康保険料、厚生年金等の社会保険料・・・非課税
従業員への慶弔金(現金)・・・不課税
慰安旅行代金(国内)・・・課税
慰安旅行代金(海外)・・・免税
持株会助成金・・・不課税
保険料
生命保険料・・・非課税
旅費交通費
交通費・宿泊費(国内)・・・課税
日当(国内)・・・課税
交通費・宿泊費(海外)・・・免税
日当(海外)・・・免税
通信費
電話・郵便料金(国内)・・・課税
国際電話・国際郵便・・・免税
水道光熱費
電気料金・・・課税
ガス料金・・・課税
水道料金・・・課税
寄附金
寄附金・・・不課税
交際費
飲食費・・・課税
ゴルフ利用料金等・・・課税
ゴルフ場利用税・・・不課税
祝金、見舞金、香典(現金)・・・不課税
商品券・・・非課税
祝品、花輪等・・・課税
会費
一般的な会費・・・不課税
対価性が明らかな会費・・・課税
租税公課
法人税、所得税、住民税、固定資産税、印紙税・・・不課税
罰金・・・不課税
支払手数料
税理士報酬等・・・課税
銀行振込手数料・・・課税
クレジット手数料・・・非課税
法令に基づく行政手数料・・・非課税
法令に基づかない行政手数料・・・課税
賃借料
地代(期間1か月以上)・・・非課税
家賃(住宅)・・・非課税
家賃(事業所)・・・課税
リース料・・・課税
支払利息
支払利息・・・非課税
保証料
信用保証料・・・非課税
固定資産取得
土地・・・非課税
建物、機械装置、工具・器具・備品・・・課税

個別対応方式または一括比例配分方式

課税売上高が5億円超、または、課税売上割合が95%未満の場合には、課税仕入れに係る消費税額のうち、課税売上に対応する部分のみを控除対象仕入税額とするための調整計算が必要です。
この方法には、個別対応方式と一括比例配分方式の2つがあります。
課税事業者は、両者のいずれかを選択できます。
ただし、一括比例配分方式によることとした事業者は、一括比例配分方式により計算することとした課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始する各課税期間において一括比例配分方式を継続して適用しなければなりません。
個別対応方式による控除対象仕入税額の計算は、課税仕入れに係る消費税額のうち、課税資産の譲渡等にのみ要する部分は全額を控除対象仕入税額に含め、課税資産・非課税資産の譲渡等に共通して要する部分は、課税売上割合を乗じて控除対象仕入税額に含めるというものです。
一括比例配分方式による場合は、課税仕入れに係る消費税額に課税売上割合を乗じて控除対象仕入税額を計算します。

仕入れに係る消費税額の控除のための要件

仕入れに係る消費税額の控除は、一定の要件を満たした場合にのみ認められるものです。
仕入れに係る消費税額の控除の要件としては、(1)課税仕入に関する請求書等を保存し、(2)一定の事項を記載した帳簿を保存しなくてはなりません。
請求書等の証憑書類は当然に保存されるものですので、特段問題はありません。
一方、帳簿に記載すべき事項は、次のとおり細かく定められており、うっかり記入を忘れることもあります。
日常の記帳業務においてはこの点を意識して、必要事項を漏れなく記載するよう努めましょう。
 
帳簿に記載すべき事項
 
イ.課税仕入の相手方の氏名又は名称
ロ.課税仕入を行った年月日
ハ.資産又は役務の内容(軽減税率の対象である場合はその旨)
ニ.支払対価の額

帳簿の保存のみでよい場合

課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円未満である場合については、請求書等の保存は必要とされておらず、帳簿の保存だけでよいとされています。
また、課税仕入れに係る支払対価の額の合計額が3万円以上である場合でも、請求書等の交付を受けなかったことにつきやむを得ない理由がある時は、帳簿の保存だけでよいとされています。

適格請求書等保存方式の導入

2023年10月1日から消費税の仕入税額控除の方式として「適格請求書等保存方式」が導入されます。税務署長に申請して登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」が交付する「適格請求書」等の保存が仕入税額控除の要件となります。
ただの請求書を保存するだけではダメになり、適格請求書を保存することが必要となるということです。

調整対象固定資産とは

調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で、
一の取引単位の価額(消費税及び地方消費税に相当する額を除いた価額)が 100万円以上のものをいいます。

調整対象固定資産特有の調整とは

調整対象固定資産に特有の調整項目が3つあります。
ひとつは、課税売上割合が著しく変動した場合の調整です。
これは、第3年度の課税期間(仕入れ等を行った課税期間の開始の日から3年を経過する日の属する課税期間)における通算課税売上割合が、仕入れ等の課税期間における課税売上割合に対して著しく増減した場合に、通算課税売上割合で控除対象仕入税額を計算し直すというものです。
二つ目は、課税業務用調整対象固定資産を非課税用に転用した場合の調整です。
課税業務用調整対象固定資産を、取得から3年以内に非課税業務用に転用した場合には、転用した日の属する課税期間の納税額を増加させます。
三つ目は、非課税業務用調整対象固定資産を課税用に転用した場合の調整です。
二つ目の取扱いと反対に、転用した日の属する課税期間の納税額を減少させます。

課税事業者になった場合の調整

免税事業者が課税事業者になった場合には、課税事業者となる日の前日に所有する棚卸資産については、課税事業者になった課税期間の課税仕入れとみなして控除対象仕入税額を計算することとされています。
これは、新たに課税事業者となった課税期間においては、控除対象仕入税額が期首在庫分だけ少なくなることに対する手当てです。
なお、この調整は棚卸資産のみを対象としますので、固定資産等については調整されません。

免税事業者になった場合の調整

前項と反対に、課税事業者が免税事業者になった場合には、免税事業者となる日の前日に所有する棚卸資産については、課税事業者である課税期間の課税仕入れから除いて控除対象仕入税額を計算することとされています。
これは、新たに免税事業者となった課税期間において販売される在庫についてまで、消費税を控除する必要はないためです。
なお、この調整は棚卸資産のみを対象としますので、固定資産等については調整されません。

簡易課税制度の概略

簡易課税制度とは、みなし仕入率を用いて控除対象仕入税額を計算する方法です。
簡易課税制度は基準期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が、「消費税簡易課税制度選択届出書」をあらかじめ税務署長に提出した場合にのみ適用を受けられます。
簡易課税制度によった場合の、控除対象仕入税額は次の算式で求められます。
控除対象仕入税額 =課税標準額に対する消費税額× みなし仕入率

業種ごとのみなし仕入率

みなし仕入率は、90%から40%までの6段階に分かれています。
事業の種類によって下記のように区分されます。
1種類の事業を営む場合ですと、単純に右ページの表から事業区分に対応したみなし仕入率を適用するだけで簡単に控除対象仕入税額を計算することができます。
 
第一種事業(卸売業)・・・90%
第二種事業(小売業)・・・80%
第三種事業(農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業及び水道業。)・・・70%
第四種事業(第一種事業、第二種事業、第三種事業、第五種事業及び第六種事業以外の事業。具体的には、飲食店業)・・・60%
第五種事業(運輸通信業、金融業、保険業、サービス業)・・・50%
第六種事業(不動産業)・・・40%

2種類以上の事業を営む場合の控除対象仕入税額

簡易課税制度の適用を受ける課税事業者が、2種類以上の事業を営む場合には、控除対象仕入税額の計算が少し複雑になります。原則的な計算方法としては、各事業ごとの売上高に応じてみなし仕入率を加重平均する方法が定められています。
2種類以上の事業を営む事業者について、1種類の事業の課税売上高が全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、その事業のみなし仕入率を全体の課税売上げに対して適用することができます。
なお、この特例の適用を受けるかどうかは、課税事業者が自由に選択できますので、課税事業者にとって有利な場合にのみ特例を選択すればよいでしょう。
3種類以上の事業を営む事業者について、特定2種類の事業の課税売上高の合計額が全体の課税売上高の75%以上を占める場合には、その2種類のうちみなし仕入率の高い方の事業に係る課税売上高については、そのみなし仕入率を適用し、それ以外の課税売上高については、その2種類の事業のうち低い方のみなし仕入率をその事業以外の課税売上げに対して適用することができます。

課税売上高から控除する項目

消費税額から控除する項目としては、控除対象仕入税額の他にも2つ、合計3つあります。
1)控除対象仕入税額
2)返還等対価に係る税額
3)貸倒れに係る税額
ここでは、2)返還等対価に係る税額をみてみましょう。

返還等対価に係る税額は控除する

事業者が、国内において行った課税資産の譲渡等につき、返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをしたことにより、当該課税資産の税込価額の返還又は売掛金等の減額をした場合には、対価の返還等をした日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間において行った売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除することとされています。
ただし、返品、値引き若しくは割戻しを売上高から控除する経理処理を行っている場合には、課税売上高の計算においてあらかじめ返品等を控除しておく経理処理が認められます。

貸倒れに係る税額控除

売掛金等の債権が貸倒れた場合には、貸倒れた債権の消費税相当額を課税標準額に対する消費税額から控除することができるとされています。
税額控除の対象となる債権は、課税売上に係る部分のみです。
貸付金などの債権は当然対象になりませんし、土地の売却代金など非課税売上に係る部分も対象になりません。
貸倒れた債権が、課税売上に係る部分と非課税売上に係る部分から構成されている場合には、貸倒れた時点における債権額の割合で区分することとなります。

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