会社様に節税対策のご提案。
まじめに税金を考えます。

日常の記帳業務

経理の毎日の仕事は記帳業務です。
日々の取引をもらさず帳簿に記入していきます。
ここでは、日々の記帳業務の基本をみてみましょう。

現金・預金の取扱い

経理の最も基本的な仕事が、この「現金出納管理」です。
現金出納は3つの仕事に分解できます。「収納」、「支払」及び「残高管理」の3つです。
「収納」は会社にお金が入ってくることで、「支払」は会社からお金が出て行くことです。「残高管理」はお金の出入りを記録し、実際にお金がきちんと会社の金庫にあることを確かめる作業です。

現金収納は領収証の取扱いに注意

会社の収納業務で、実際に現金を受け入れるケースはそれほど多いものではありません。
実際に現金を受け入れるケースとしては、営業マンが現金で得意先から集金して回るものがその大半を占めます。他には、現金書留で得意先から郵送されてくるケースがありますが、銀行振込が一般的になったため、今では珍しいものとなりました。
現金収納にあたっては、領収証の発行が必要になります。
領収証は、会社がお金を受け取りましたと証明するために発行するものです。多くの会社では、印刷業者に依頼し、会社名や住所が印刷された独自の領収証を作成しています。複写式になっていて、発行した領収証の控えを会社で保管できるようになっています。
領収証を発行する際に気をつけなくてはならないのは、「領収証にはお金と同じ値打ちがある」ということです。
なぜなら、集金担当者が得意先を訪問し、領収証さえ手渡せば現金を受け取ることができるからです。
もし、集金担当者が不正を働こうと思えば、会社の領収証に欲しいだけの金額を記入し、得意先から現金を受け取り私的に流用することも可能です。
これを防ぐためには、集金担当者に領収証を自由に発行させないことが理想的です。
集金担当者には、経理部門であらかじめ金額を記入した領収証を集金日の朝に手渡します。集金担当者は得意先で現金を受け取り、引き換えに領収証を渡します。集金担当者は、当日中に経理部門に現金を持ち帰ります。最初に受け取った領収証と同額の現金を持ち帰っていれば、領収証の発行と現金の収受が正しく対応していることが保証されます。
しかし、この方法は、集金件数が少なく、事前に集金額が判明している場合にしか採用できません。
多くの場合、集金担当者が得意先で領収証に金額等を記入して発行しなければなりません。
このような場合には、複写式の無地の領収証綴りを集金担当者に持たせることになります。
集金担当者が不正な領収証発行をしていないことをチェックする目的で、集金担当者が集金してきた現金の額と、領収証の発行控えに記載されている領収金額とが一致していることを経理部門において毎回確かめることが必要です。領収証の発行控えが100万円となっているのに、会社に入れた現金が90万円ということであれば、差額の10万円については集金担当者が持ち帰っているかもしれません。
集金担当者が一日の集金を終え、会社の経理部門に現金を入れた場合、経理部門では現金を受け入れ、直ちにその記録を残します。
多くはコンピューターに入金のデーターを登録しますが、誰からいくらの現金を受けとり、出納窓口の誰に手渡したかを明らかにする目的で、手書きの現金受渡簿を作成しているケースも多くみられます。

現金支払い業務は少額のものに限る

会社の支払い業務で、現金で支払いをする件数はあまり多くありません。多額の現金を持ち運ぶことには、盗難などの危険性があるためです。現金での支払いは、少額な取引がほとんどです。
仕入代金の支払いなど高額な支払いは、銀行振込によることが多いでしょう。もし、取引先の担当者が集金に来るのであれば、小切手を用意することになります。
支払いのためには、会社内で定められた支払いの手続を経ることが必要となります。営業部門や製造部門など、実際に物品を購入した部署において、納品の事実を明らかにし、予算内の購入であることを示した上で、上長の承認を得ます。その後、支払い指図が経理部門に回付され、経理部門で支払い先ごとに金額を集計し、まとめて支払います。
現金で支払いが行われた場合には、必ず領収証を入手し、支払い指図などの書類と併せて保管しておくことが必要です。

小口現金の管理

営業や製造の現場の各部署で日常発生する少額の経費については、現金で支払うことになりますが、そのたびに経理部門から支払いをしていたのでは、手間がかかります。
そこで、少額の支払いに充てるため、現場の各部署や事業所・出張所の会計担当者に少額の現金を管理させる方法が一般に用いられています。この少額の現金のことを「小口現金」といいます。
小口現金の管理にあたっては、「インプレストシステム」と呼ばれる方法がとられています。インプレストシステムとは、一定額の資金を前渡ししておくというものです。
例えば、営業部にはこまごました経費の支払いのために20万円を前渡ししておくと取り決めた場合、営業部の、得意先との飲食費などをこの20万円から支払います。営業部の会計担当者は毎週金曜日に1週間(10日ごとでも、1ヶ月ごとでもかまいません)に発生した小口現金からの支払いを集計して経理部門に報告します。1週間につかった金額の補充を受け、再び営業部の小口現金は20万円に戻ります。

預金の管理

会社の経理では、実際に現金を受け取ったり、現金で支払ったりすることは多くありません。ほとんどは預金を利用することになります。
預金には色々な種類がありますが、通常用いられるのは当座預金、普通預金及び定期預金の3つです。
普通預金と定期預金は、一般の人にもなじみがあります。
当座預金は、個人でこれを利用している人は、相当のお金持ちだけです。しかし、一定規模以上の会社になりますと、当座預金が最もよく利用されます。
預金の管理は、「入金」、「支払」及び「残高管理」の3つが重要です。

預金の入金管理

現在は、商品代金の決済などはほとんど銀行振込によって行われます。そのため、会社の預金口座には、通常ですと、毎日たくさんの入金があります。
経理の仕事においては、会社の預金口座に日々振り込まれてくる入金を把握し、素早く正しい処理をすることが求められます。
会社は、銀行預金の入出金のデーターを毎日入手します。銀行へ通帳記入に行かなくとも、ファームバンキングやインターネットバンキングとよばれるシステムを利用して、口座残高や取引が照会できます。
会社の預金口座に得意先から振込入金があった場合、どの得意先から、何の代金が振り込まれたかを1件ずつ確認する、売掛金の消し込み作業を行わなければなりません。
この消し込み作業は、たくさんの入金を1件ずつ識別していくという根気のいる作業です。入金の中には、誰から何の支払いとして振り込まれたのかが判明しないものも含まれています。そのため、消し込み作業が完了するまで入金のデーターを認識しないのでは、タイムリーな経理処理ができません。
そこで、預金口座に入金があった場合、とりあえず入金があった事実を経理上認識しておきます。仕訳としては、相手科目が必要ですが、この場合は「仮勘定」を用います。消し込み作業が終了した時に、この仮勘定は精算されます。

預金の支払管理

商品代金の支払いなども、銀行振込によって行われるケースが多いでしょう。従来から手形による支払いも多くの企業で利用されていますが、このところ銀行振込による会社が増えています。
手形での支払いが敬遠される理由としては、発行・管理に手間がかかることのほか、手形には収入印紙を貼る必要があり、このコストが大きな負担となっていることも挙げられています。
経理部門には、製造部門や営業部門からの支払依頼が毎日たくさん寄せられます。これらについて、各部門の責任者の承認がなされていることを確かめ、さらに、経理部門でも支払内容やその金額が妥当であるかどうかを確かめます。
経理部門でのチェックがどの程度機能しているかは、会社によって異なります。経理部長が厳しい会社の場合、各部門で承認された支払いについても、「値段が高い」といった指摘があり、コストに対する厳しい企業文化が醸成されているようです。

総合振込

会社が銀行振込によって支払いを行う場合、1件ずつ振込みのデーターを銀行に送ることはしません。会社が支払いをするのは、通常1ヶ月に1度支払日を決めていて、その日に全ての支払いを行います。
会社は支払日に、何百件、何千件という振込みを一度に行うことになります。そのための振込みのデーターを1度にまとめて銀行に送ります。この振込の形態を総合振込といいます。
総合振込のデーターは、支払日の数日前に銀行に転送しなくてはなりません。データー作成に当たっては、振込先の銀行、金融機関コード、支店、店舗コード、預金の種別、口座番号、名義を確認しておく必要があります。

振込先口座の登録

銀行振込で支払いを行う場合、支払先の口座番号などをあらかじめコンピューターに登録しておきます。なぜなら、総合振込のデーターを毎月作成するたびに、口座番号等を手作業で入力していては手間がかかるためです。
支払先の情報は変更があれば更新しておき、絶えず最新のものとなっている必要があります。
ここで、実務上の作業として、金融機関コードの登録が必要になります。
全国の銀行や信用金庫にはそれぞれコード番号が付されています。さらに、支店ごとのコード番号も付されています。総合振込のデーター作成にあたっては、このコード番号も正しく指定する必要があります。
支払先の登録内容を変更する事例として、このところ多く見られるのは、銀行の合併などに伴い、金融機関コード・店舗コードが変更になるケースです。
コードの変更については、金融機関のホームページでも情報が掲載されていますので、こまめにチェックしましょう。

預金の残高管理

預金残高についても、1ヶ月に1度は帳簿残高と実際の残高が一致していることを確かめましょう。
当然、預金については預金出納帳や補助元帳などで入出金があるたびに記帳(コンピューターへのデーター入力)を行います。
月末を基準日として、普通預金については預金通帳の残高と、当座預金については当座勘定照合表の残高と帳簿残高が一致していることを確かめなければなりません。もし、それらの残高に不一致が生じているのであれば、記帳漏れや誤記入の可能性がありますのでチェックして、修正を行います。
ここで、当座預金については注意が必要です。当座預金については、小切手を振出した時に帳簿上は出金を認識します。一方、銀行では、小切手を受け取った人が、小切手を持ち込んで始めて出金を認識します。このため、月末の支払いで振出した小切手が、銀行の残高から落ちるのは、翌月初旬になります。月末時点では、両者の残高に差異が生じます。
このような差異は、当然起こるものです。これを一致させるために帳簿を修正することはしません。そのため、残高の不一致について明らかにする目的で「当座預金残高調整表」を作成します。

売掛債権管理について知っておこう

現金商売であれば、売上代金を取りはぐれるという問題は起こりません。
しかし、多くの商売では、得意先に商品を納入した後、1ヶ月分をまとめて請求し、代金を回収します。このような掛取引では、売掛債権を漏らさず回収するための管理が非常に重要です。
商品納入から代金支払まで、短い場合でも1ヶ月、長い場合では半年以上の期間を要することがあります。会社は様々な支払をしていかなくてはなりませんので、売上代金をきちんと決められたスケジュールどおりに回収することが欠かせません。

まずは与信管理

売掛債権管理の第一歩は、与信管理です。得意先に対して、掛取引で販売しても良いかどうかを判断しなくてはなりません。
新規の得意先が現れたときに、真っ先に行うのは、新しい得意先の財務情報の入手です。帝国データバンクや東京商工リサーチなどの信用調査会社からデーターを入手することができます。新しい得意先から直接決算書を入手すれば、コストもかからず直近の決算情報を入手できますが、これには先方の了解が必要ですので、双方の力関係から難しいこともあるでしょう。
新しい得意先の財務情報等から、回収に問題がないと考えられる売掛債権の限度額を定めます。これを与信限度額といいます。営業担当者は、得意先の希望通りの商品をいたずらに納入することは許されず、必ず与信限度額の範囲内に売掛債権の残高を抑えなくてはなりません。
財務情報等から信用力が低いと判断された得意先については、与信限度額を低く抑えることが必要です。取引開始から一定期間は現金取引や前払いを要求したり、保証金を預かることも効果的です。

与信限度額は絶えず見直そう

取引を開始した後も、各得意先への与信限度額は随時見直すことが必要です。
財務情報を適時入手し、回収に疑義が生じた得意先については、与信限度額を引下げることも必要です。
営業部門からは、取引量の増加してきた得意先について、与信限度額の引上げを要求されることが多くあります。
この場合、単に取引量が増加しているという理由だけで与信限度額を引上げることはできません。
得意先の信用力を客観的に判断し、回収可能と判断される与信限度額を設定しておきましょう。

売上計上に漏れはないか?

売掛債権管理の前提として、商品を納入したものについては、すべて売上が計上されていなくてはなりません。
経理処理について、売上計上は、原則として「商品を引き渡した時」又は「役務提供を完了した時」に行われます。
商品を引き渡した時として、通常は、自社の倉庫などから商品を出荷した時点を基準としています。
役務提供を完了した時としては、顧客から完成報告書などを受け取った時点を基準とするケースが多いようです。
いずれの場合も、出荷や完了というアクションが発生した場合に、漏れなく売上が計上される仕組みになっていなくてはなりません。売上計上の伝票処理は、ほとんどの場合、営業部門で行われます。経理部門では、営業部門から送られてきたデーターを処理して経理データーに落とし込む作業を行うだけですが、営業部門の業務フローが売上計上に漏れがないものになっていることを確認しておきましょう。

1ヶ月に1度の請求を忘れない

商品の出荷は毎日行われますが、請求は1ヶ月分をまとめて1枚の請求書で行います。
通常、得意先ごとに締め日と支払日とが決められています。支払に関してはお客様にイニシアチブがありますので、締め日と支払日は買い手の都合で決定されるケースが多いようです。
例えば、「毎月末締め・翌月末払い」の得意先については、毎月1日から末日までの売上伝票(出荷伝票)を集計し、合計額を記載した請求書を作成します。先方の支払事務のスケジュールも考慮して、できるだけ早く請求書を送付しなければなりません。
請求書作成・発送作業も、ほとんどの場合、営業部門で行われます。経理部門では、営業部門が行う請求業務フローが適時に漏れなく請求するものになっていることを確認しておきましょう。

得意先からの入金を確認する

売掛債権は、1.集金による現金・手形の回収による場合、2.郵送による現金・手形の回収による場合、3.得意先からの振込による場合等があります。
売掛債権を回収した場合には、得意先ごとの売掛金を管理する得意先元帳に入金があったことを記録します。
それぞれの入金が、どの得意先からの、どの請求にかかるものであるかを1件ずつ把握しながら、未回収の売掛債権を消し込んでいきます。
小規模な会社や、得意先の数が少ない会社ですと、この消し込み作業は手作業で行います。
しかし、得意先が何千件、何万件とあるような会社で、銀行預金口座に振り込まれてくる場合には、コンピューターで自動的に処理をします。その場合、請求書に連番を付し、振込入金データー上の請求書番号と突合する作業を自動的に行います。

期日どおりの入金がない場合には督促する

売掛金の消し込み作業は毎日行います。
なぜなら、期日どおりに支払いをしてくれない得意先があるからです。
売掛金の消し込みを日々行うことで、期日を過ぎても支払いがない得意先を早期に識別できます。
支払期日を過ぎても回収できない売掛債権については、督促しなくてはなりません。督促は営業部門の担当者が行うことが一般的です。経理部門で売掛債権の消し込みを行っている場合には、未回収売掛金のデーターを営業部門に提供し、督促を依頼しなくてはなりません。

滞留状況をチェックする

少なくとも1ヶ月に1度は、売掛債権の滞留状況をチェックします。
滞留状況を把握するために、「売掛金年齢調」を作成します。
売掛金年齢調により、得意先ごとに売掛債権の回収遅延の状況を把握します。
売掛債権の回収遅延については、営業部門と経理部門とで情報を共有することが必要です。回収の見込みは期末の貸倒引当金の設定に影響を与えますし、資金繰りの手当てが必要になる場合もあるためです。

売上値引・返品・割戻の注意点

売上値引という言葉は日常的に用いられますが、本来の意味とは異なるようです。売上値引は、得意先に対して値段を安くするオマケのことではありません。
正しくは、「納品時の数量不足、品質不良、破損等の理由により売上代金を減額すること」です。
ところで、この売上値引は、得意先から営業担当者にクレームとして連絡・要請があるものですが、営業部門でその計上についてチェックが正しく行われているかどうかを経理部門としても気にかけておく必要があります。
なぜなら、売上値引は商品が会社に戻ることもありませんし、事前の取り決めによるものでもありません。得意先からの連絡を受けて、営業担当者が伝票処理するだけで売掛債権が減少します。
そのため、営業担当者が得意先と結託し、会社の商品を非常に安い価格で払い出すといった不正が発生する可能性があるのです。
売上返品とは、文字通り得意先から商品が送り返されることをいいます。こちらについては、返品された商品を確かめ、入庫処理を行った上で、売上を減ずる経理処理を行います。
売上割戻とは、いわゆるリベートのことをいいます。
一定の期間に、事前に取り決めた数量又は金額を上回る取引があった得意先に対して、一定の金額を支払います。多くは売掛金を減じる経理処理を行います。

残高確認を実施する

売掛債権が会社の帳簿上正しく計上されていることを確かめる目的で、残高確認を実施することも効果的です。
売掛金の残高確認とは、得意先に対して、残高確認書を郵送し、会社が売掛債権として認識している金額と、得意先が債務として認識している金額とが一致していることを確かめ手続きをいいます。
会社が売掛債権として認識している金額と、得意先が債務として認識している金額が一致していない場合には、その原因を分析します。
残高確認を実施することで、売掛金残高の異常を把握することができます。例えば、入金の処理漏れや売上の二重計上などが発見されます。それ以外に、営業マンが架空売上を計上しているような不正の発見にも効果を発揮します。

手形と小切手の違い

手形は、小切手と同じように、一定の金額の支払を目的とする有価証券です。銀行から小切手帳を購入するように、手形帳も銀行から購入します。紙質はほとんど同じです。サイズは手形の方が若干大きく、記載事項も手形の方が多くなっています。
両者の最大の違いは、手形には満期日があるという点です。小切手は、受け取った人が銀行に持ち込めばすぐに現金を受け取ることができますが、手形は支払期日まで待たなければ現金に換わりません。

約束手形と為替手形

手形には、約束手形と為替手形の2種類があります。
約束手形は、債務者が債権者に支払を約束する有価証券です。支払期日に、振出人が銀行預金口座を通じて支払います。
一方、為替手形は、債務者が債権者とは別の人に対して債権を有している場合に、その人に対して、債権者への支払を依頼する有価証券です。支払期日には、振出人(債務者)ではなく、依頼を受けた人が銀行預金口座を通じて支払います。
手形の用紙をよく見てみると、両者の違いがわかります。
約束手形には「上記金額をあなた又はあなたの指図人へこの約束手形と引替えにお支払いいたします」と記載されているのに対して、為替手形には「○○○殿又は指図人へこの為替手形と引替えにお支払ください」と記載されています。

手形の裏書

手形を受け取った人は、その手形を銀行に持ち込み換金することができますが、それだけでなく、自らの支払のために手形を他の人に譲渡することもできます。
これを手形の「裏書」(ウラガキ)といいます。
裏書するには、受け取った手形の裏面に、受取人が記名押印し、手形を受け取る人の名前を記入します。銀行が発行する手形の裏面には、あらかじめ裏書のために記名押印する欄が設けてあります。
ただし、注意しなくてはならない点があります。それは、裏書して手形を譲渡しても、手形の支払人が不渡りを起こすと、裏書した人が支払いをしなければならない義務を負っているという点です。
支払人の信用力に疑問がある場合には、手形を裏書しないことが賢明です。

手形を受け取る時は、記載事項を確認する

手形を受け取った場合には、手形の様式を必ず確認しなくてはなりません。なぜなら、手形は法定の書式を備えていなければ、その効力がないからです。
約束手形には、次の事項が漏れなく記載されていなくてはなりません。また、記載されている支払期日等は取引条件に合致しているものであることも確認しなければなりません。裏書された手形については、裏書の連続性も確かめましょう。

約束手形の記載事項

一  証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル約束手形ナルコトヲ示ス文字
二  一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル約束
三  満期ノ表示
四  支払ヲ為スベキ地ノ表示
五  支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
六  手形ヲ振出ス日及地ノ表示
七  手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名
(手形法第75条)
通常は、銀行から購入した手形帳を用いますので、ブランクになっている箇所がすべて記載されていることを確認すればよいでしょう。
実務上は、受取人等の欄が未記入のまま振り出された手形もみられます。このような手形については、銀行に持ち込むまでの間に必要事項を記入することで法的には有効に取り扱われるのが一般的ですが、振出人において正しく記入されることが望ましいことは言うまでもありません。

受取手形の現物管理

手形の管理は、現物管理とデーター管理の両方が重要です。
受け取った手形を、支払期日に換金する予定であれば、できるだけ早期に銀行に持ち込みましょう。
ただし、裏書するのであれば、それまでの間、会社の金庫で保管することになります。盗難等に細心の注意が必要です。
また、手形を支払期日前に換金する手形割引を利用する場合にも、一時的に会社の金庫で保管することが必要になり、上記同様の注意が必要です。

手形割引

支払期日が到来する前に、受け取った手形を銀行に裏書譲渡して、換金することができます。これを手形割引といいます。
手形割引は、銀行からの借入れの一種ですので、会社に信用力がない場合には受け付けてもらえないことがあります。
銀行に対しては、金利の代わりに割引料を支払います。割引料は、借入れ金利と同じように、会社の信用力等に応じてその利率が決定されます。当然、割引の日から支払期日までの期間が長いほど、割引料も高額になります。
なお、手形を割り引いた場合の経理処理については、手形を担保にした借入れではなく、手形の売却として処理することが金融商品会計基準・同実務指針において定められています。

受取手形のデーター管理

手形を受け取った場合には、直ちに受取手形台帳等に記録します。受取手形台帳には、振出日、金額、振出人、支払期日、支払場所等のデーターを記録します。
受取手形は、数ヶ月先に到来する支払期日において、換金され、会社の資金繰りに用いられます。ですから、資金繰りの予定を立てる上でも、受取手形のデーター管理は重要です。
また、手形の支払期日等のデーターを管理するだけでなく、手形振出人の信用力に問題がないかどうかについても絶えず目を光らせておく必要があります。
現在では多くの会社でコンピューターを用いて受取手形のデーター管理を行っています。コンピューターを用いれば、手形の得意先別明細や期日別明細など必要な情報を様々な集計方法によって把握でき、大変便利です。

受取手形も定期的に実査する

受取手形は大変換金性の高い資産です。そのため、現金同様にその実在性を定期的に確かめることが必要です。
実査の手続で、受取手形台帳等に記録されている残高と、会社の金庫に保管されている手形の残高が一致することを確かめます。ただし、手形の金額だけが一致しているだけでは不十分です。手形の支払人や支払期日等についても併せてチェックしなくてはなりません。

受取手形が不渡りになった場合

受取手形の支払期日が到来しても、支払人が資金不足で手形が換金されないことを不渡りといいます。
手形が不渡りになった場合、取立銀行からその旨の連絡があります。
この場合、経理部門としては、支払人の財務状況を把握するなどの対応が必要になります。また、自社の資金繰りに与える影響も検討し、必要な場合は、金融機関から資金調達することになります。
さらに、不渡りの事実を営業部門に素早く情報提供することも忘れてはなりません。不渡りが発生した後は、当該取引先への納品をストップしなければなりません。

買掛債務管理について知っておこう

商品や原材料を外部から購入する場合には、仕入れるたびに現金で代金を支払うのではなく、1ヶ月間の取引をまとめて後日支払う決済方法が一般的です。この場合に発生する金銭債務を買掛債務といいます。
会社が商品や原材料を仕入れた時に、仕入と買掛債務を経理上認識します。
買掛債務を表す勘定科目としては、買掛金が用いられます。
買掛債務は、仕入先ごとに、発生日や発生原因を明らかにして管理します。

仕入と買掛債務を計上するタイミング

商品や原材料を外部から購入し、それを経理上、仕入と買掛債務の発生として認識するタイミングの基準としては、入荷基準や検収基準などがあります。
入荷基準とは、会社が購入する物品を受け取った時点で仕入と買掛債務を認識するものです。
また、検収基準とは、会社が購入する物品を受け取り、数量や品質に問題がないことを確かめる「検収」という作業の完了時点で認識するものです。
一般的に採用されているのは、検収基準です。
なぜなら、会社が商品や原材料を購入した際には、原則として検収を行うからです。
会社が注文したとおりの商品や原材料が正しく納品されているかどうかを確かめることは非常に重要です。実際に、購買の現場では、毎日のように注文したものとは異なる納品を受けるというトラブルが発生しているものです。納品を受ける数量についても同様です。
商品や原材料の納品を受ける際には、必ず先方が発行した納品書と現品とを照合する作業を実施しましょう。
また、納品書と注文書との照合も行うことが望まれます。
こうすることで、注文した物品が注文どおりに納品されたことが確かめられます。
会社において仕入と買掛債務を認識する経理処理の基となる資料は、検収時にチェックした納品書となります。

請求書をチェックする

通常、1ヶ月間に納品を受けた商品や原材料について、まとめて1枚の請求書が届きます。
請求書には請求合計金額が記載されています。
そして、請求書には請求明細などと称される、請求の内容を詳細に示した書類が添付されます。納品書の控えを綴り請求明細に代える場合も多くみられます。
請求書が届いたら、会社の買掛債務のデーターと突合作業を実施します。
仕入先から届いた請求明細と、会社の買掛債務データーとの突合作業は非常に重要です。もし、この作業をしていなければ、仕入先から納品を受けていない取引についての請求を受けた場合に、先方の請求どおりに過大な支払をしてしまうおそれがあります。
このような、納品を受けていないにもかかわらず請求を受けるということは、実務上珍しいことではありません。先方の売上二重計上などが原因です。
納品を受けていない請求ついては、支払を保留するようきちんとチェックしましょう。

買掛債務の支払い

上記のようなチェックを行い、仕入先からの請求について、会社でも納品の事実が確認でき、金額にも問題がみられない場合は、支払いの処理を行います。
支払の処理は、支払担当者に支払の指図を送り、振込等によって行われます。

買掛債務の滞留の処理

このような業務フローで買掛債務の支払を適切に実施していると、買掛債務の滞留が発生します。
1年に2回程度(本決算と中間決算で)は、この滞留している買掛債務を調査することが望まれます。
滞留が発生する原因は様々です。
最も多いのは、先方の請求漏れです。これは、特に少額の物品を多数仕入れる場合に多くみられるもので、先方が売上計上を失念していることが原因です。
この場合には、先方に請求するよう連絡するのもよいでしょう。しかし、通常は請求を失念した側に責任があるため、このような買掛債務は支払われないままとなります。
1年以上請求されないままの買掛債務は会社の利益として計上する経理処理を取り決めている会社が多いようです。買掛債務を長い期間負債に計上したままにしていると、税務調査で指摘を受けることもあります。支払う見込みのない債務については、負債から収益に振り替えなさいという指導です。債権の消滅時効が到来したものについては、順次収益に計上しておくとよいでしょう。
ところで、買掛債務が滞留する原因が、自社にある場合も少なくありません。
多く見られるのは、仕入を二重計上しているケースです。
普通に考えると、二重計上は起こるはずがないのですが、納品時に仮の納品書を受け取り、後日正式な納品書が郵送されてくるケースなど、イレギュラーな事務処理を行うと、どうしてもこのような想定外のミスが生じます。
買掛債務の滞留は、その原因を調査して、正しい処理を行いましょう。

支払手形管理について知っておこう

手形振出に際しては、必要事項を漏れなく記載する
手形には法律で定められた必要事項を漏れなく記載しなくてはなりません。
金額欄や支払期日を空白で振り出した場合、手形を受け取った人が当該事項を記入することで、法的には有効な手形となってしまいます。
手形は、直接取引関係のない第三者にも裏書されて流通していきますので、不当に金額や支払期日を記入された場合にも、それに基づき支払の義務を負うことになります。
手形を発行する場合にも、小切手同様、手形帳から切り離す前に、手形帳に残る控えに、受取人、支払期日、支払場所、振出日、摘要及び金額を記入し、割印をします。
手形を振り出したら、支払手形管理台帳等に記録し、データーを管理しましょう。

支払手形の期日管理

手形を振り出し、支払手形台帳に記録したら、支払期日の管理に注意を払いましょう。
多くの会社では、支払手形台帳はコンピューターを利用して作成されています。コンピューターを利用することで、瞬時に期日別の支払予定額を把握することができます。
手形の支払期日には、まとまった資金が必要になります。資金繰りには万全を期して、不渡りを起こすことがないよう留意しましょう。

手形帳の現物管理

手形の発行は、銀行から購入してきた手形帳を用いるのが一般的です。
ここで、手形帳の現物管理にも注意を払いましょう。
手形には銀行印を押捺する必要があるとはいえ、非常に換金性が高く、盗難等の事故や不正な使用の危険性があります。
それらを防止する目的で、未使用の手形について、管理台帳を作成し、定期的に実査することが望まれます。
銀行から購入してきたら、手形帳の受け入れとして記録し、手形帳を使用したら払い出しとして記録します。差し引きで、未使用の手形帳が把握できます。
銀行から購入してきた手形には、連番があらかじめ付されていますので、これを利用して管理すると便利です。

在庫管理について知っておこう

在庫のことを、会計用語で棚卸資産といいます。
棚卸資産の管理は物流管理部門などが担当します。
棚卸資産の管理において、日常の受払管理は非常に重要です。これは、棚卸資産に物品として換金価値があるという理由の他に、得意先から注文を受けた時に、手許に在庫があるかどうかを把握していることが営業上の要請からも必要であるためです。
棚卸資産の受払管理は、商品元帳などと呼ばれる補助簿で行われますが、現在ではほとんどの会社でコンピューターが用いられています。
棚卸資産は、日々の購入、販売で頻繁に出入りしますので、コンピューターによりリアルタイムな情報を把握できることは非常に有益です。
棚卸資産を受け入れたときには、納品書などをもとに必ず受け入れのデーターを入力します。小規模な会社の場合は、受け入れ時に、商品ごとに受け入れた数量と金額を入力していきます。
大規模な会社や相応のシステムを導入している会社の場合、発注データーが記録されており、棚卸資産の受け入れは発注データーを消し込む作業となります。この場合、受け入れの際には数量や金額を入力する必要はなく、発注番号ごとに受け入れを認識していく作業を行うこととなります。

在庫には適正な水準がある

会社で保管する在庫量には望ましい水準があります。多すぎても少なすぎても良くありません。棚卸資産の管理を担当する物流管理部門などでは、常に在庫を適正量に保つ努力をしています。
在庫が少なすぎると、得意先から注文があっても販売できずに売り逃すことが多くなります。このような売り逃しによる損失を機会損失といいます。
一方、在庫が多すぎると在庫を保管するためのコストがかさみます。倉庫を借りるための賃借料が膨らむことは容易にイメージできるのではないでしょうか。
当然、在庫を受け入れてから販売するまでの期間が長くなりますので、商品の劣化も多くなります。
さらに、在庫を抱えることで、会社の資金が固定化されてしまいます。この点は、経理部門の会計データーにおいても、棚卸資産の金額が膨らむことから容易に認識できます。
適正な在庫水準がどの程度かという点については、明確なルールはありません。各社で試行錯誤を繰り返しながら、適正な在庫水準を探っています。
経理部門としては、過剰在庫に常に注意しておき、在庫が異常に多くなった場合に担当部門に注意を発します。

販売管理との連携

在庫管理は、販売部門との連携が欠かせません。
とりわけ重要な仕事は、出荷可能な在庫数量を常に把握しておくことです。
倉庫で実際に保管されている在庫の数量は容易に把握できます。しかし、これだけでは、不十分です。営業部門では、顧客の要望するタイミングで必要な数量をそろえることが必要です。
将来の各時点での出荷可能在庫量が把握できてこそ、在庫管理が営業部門の力になれるのです。
出荷可能在庫を把握するためには、実在庫データーのほかに、生産予定や購買予定から把握する入庫予定データー、販売予定から把握する出荷予約データーなどを統合して管理します。

付随費用の取扱い

棚卸資産を購入する時に要した付随費用は、棚卸資産の取得価額に算入するのが原則です。
ただし、買入事務費や検収費のように、棚卸資産取得後に会社内で発生する間接的な付随費用については、その額が、棚卸資産の購入対価の3%以内である場合には、取得原価に算入しない経理処理も法人税法上認められています。

経費管理について知っておこう

経費の支出にあたっては、事前に予算を策定しておくことが必要です。
予算策定にあたって、事前に支出できる限度額を、費目ごとに設定しておきます。こうすることで、経費の無駄遣いを抑制することができますし、目標とする利益を達成することも可能となります。
もし、予算が策定されない状況で、期中の営業活動を行えば、無制限に経費を支出し、会社の損益が悪化するか、或いは必要以上に経費を抑制し、営業活動を停滞させ、その結果収益機会を逃すおそれがあります。
予算の策定にあたっては、予算執行の最小単位で作成しなければなりません。全社合計の予算だけを策定したのでは、実際の執行現場で役に立ちません。
また、予算で認められた範囲内であれば、その執行は各現場の判断に任せられます。
当初予算で想定していない支出については、予備費を流用することになりますが、それでも不足する場合には、補正予算を組みます。

予算と実績を対比する

経費の支出は日々発生しますが、期中においては経費の使用状況を把握することが欠かせません。
そして、経費の使用状況の把握は、予算額と支出実績額との比較を中心に行うことになります。
毎月平均して発生する経費については、毎月の発生額が年間予算額の12分の1であれば特に問題ありません。もし、半年経過時点で年間予算額の80%を使用済みということであれば、無駄遣いがないかチェックすることが必要になります。
経費の中には、毎月平準的に発生するのではなく、特定の時期にのみ発生するものがあります。
例えば、固定資産税(特に1年分を全納する場合)や賞与などがこれに該当します。また、減価償却費も決算時期にだけ正しい金額を計算できる費目ですので、これに近い性質を持っています。
このような経費については、1年間の発生額を予測して、1ヶ月あたりの見込発生額を毎月計上していきます。こうすることで、予算の使用状況を正しく認識することができます。
このような、経費の予算と実績の対比は、原則として経理部門で作成した資料を各現場部門に提供します。経理部門から受け取った情報を基に、各部門は予算の使用状況を分析し、遣い過ぎの費目があれば原因を調査し、支出抑制に努めなくてはなりません。分析結果は各部門から経理部門に提出され、経理部門では全社的な経費使用状況を分析します。
この作業は、毎月実施するのが理想的です。

現場での経費支払をチェックする

経理部門では、各部門から回付されてきた経費支出に関する伝票を承認する作業を行うことになります。
金額の小さな経費については、基本的に予算の範囲内で支出されるわけですから、経理部門でその適否を細かく指摘することはありません。
しかし、注意しなくてはならない点として、①勘定科目の選択が合理的であるかどうかということと、②税務上問題のない支出であるかどうかということがあります。
規模の小さな会社であれば、各部門が支出した経費の勘定科目は経理部門で選択し、経理データーとして入力処理していきます。この場合は、各部門で勘定科目を選択することがないため特段の問題は生じません。
一方、会社の規模が大きくなり、相応のシステムを導入している会社の場合、経費の支出に関する稟議書等に勘定科目名を記載する欄があらかじめ設けてあり、各支出の担当者が勘定科目を選択することとなっています。 頻繁に発生する経費であれば、各部門の担当者が毎回同じ勘定科目を選択するため問題は生じませんが、稀にしか発生しない経費については、経理の専門知識の乏しい現場担当者が適切でない勘定科目を選択・記載することがあります。
このような勘定科目の選択の適否を、経理部門で最終的にチェックすることが必要になります。
また、経費の支出にあたっては、税務上問題となる論点が複数あります。例えば、会議の目的で昼食代を支出した場合、その目的や飲食した参加者を特定して伝票に適切な記載を行えば会議費としての処理が認められますが、不適切な事務処理を行うことで、税務上の交際費と判定され法人税等を課される場合などがその典型です。
税務上の不利益を回避するという観点からも、経理部門でのチェックが欠かせません。
以下では、各経費項目について、個別に注意すべき点を検討していきましょう。

交際費には注意が必要

経費の支出にあたって、頻繁に問題になるのが交際費です。
交際費は、会計上はあきらかに費用となりますが、法人税の計算をするときには原則として全部または一部が費用(正しくは税務上の費用のことを「損金」といいます)になりません。つまり、交際費を支出しても税金は減少しないということです。
そのため、会社が支出する経費はできるだけ税務上の交際費に該当しないことが望まれます。
税務上の交際費は次のように定義されています。

交際費等とは、交際費、接待費、機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの(専ら従業員の慰安のために行われる運動会、演芸会、旅行等のために通常要する費用その他政令で定める費用を除く。)をいう。
(租税特別措置法第61条の4第3項)
具体的には、得意先との飲食費やゴルフ料金、中元・お歳暮、お香典・お祝い金などがこれに該当します。
金額の多寡によるものではありませんから、たとえ500円の手土産であっても上記の要件を満たせば交際費に該当します。
ただし、従業員の忘年会費・慰安旅行費などは、福利厚生のための費用であり上記の交際費には該当しません。また、会議のための少額の飲食費も上記の交際費には該当しません。
給与、福利交際費、広告宣伝費、会議費などは税務上の交際費に該当するか否か判定が難しい場合が少なくありません。

寄附金にも注意が必要

交際費に付いて、経費の支出時に取扱いに頭を悩ませるのが寄附金です。
寄附金についても、税金の計算をする際に、費用として認められない(損金算入されない)部分があるため注意が必要です。
税務上の寄附金は次のように定義されています。
寄附金の定義
寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもつてするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
(法人税法第37条第7項)
具体的には、募金など以外に、時価よりも安く資産を譲渡した場合や、無償で資産を譲渡した場合、役務提供した場合に寄附金を支出したこととなります。

福利厚生費

福利厚生費について税務上は特別の規定を置いていません。
ただし、福利厚生費として支出した金額のなかに、従業員に対する給与として従業員に所得税が課される場合があります。
例えば、社内旅行や忘年会等の社内レクレーションに参加しなかった従業員に対して金銭を支給した場合、創業記念や永年勤続表彰に社会通念上不相応と判断される高額の金品を支給する場合などがこれに該当します。
また、福利交際費として支出した金額が交際費として取り扱われる場合があります。
例えば、一部の役職者だけが参加する宴会の費用などがこれに該当します。
福利厚生費の支出にあたっても、税務上の取扱いを意識して注意を払う必要があります。

旅費交通費

旅費交通費の支給においては、出張時の日当と役員の出張旅費が特に問題となります。
出張時の日当については、出張旅費規定などの社内規定を設けておくことが必要になります。当然日当は、当該規定に従い支出されていることが必要です。
日当は、役員や従業員が出張先で支出する食事代や日常消耗品費に充てるために、会社が渡し切りで現金を支給するものです。また、遠隔地で過ごすことに対する手当ての意味もあります。そのため、日当については、領収証が必要ありません。
役員の出張旅費については、観光が主たる目的である場合には、役員に対する賞与と扱われるため、損金に算入されませんし、役員個人に所得税が課されます。

源泉所得税に注意

経費の支払において注意しなくてはならないのが、源泉所得税の取扱いです。会社が経費として支払う報酬や料金の中には、報酬や料金の全額を相手方に直接支払ってはならないものがあります。特に、個人に対して支払う報酬や料金については注意が必要です。

源泉所得税の納付

源泉徴収した税金については、原則として支払った月の翌月10日までに納付しなくてはなりません。
納付は、税務署から郵送されてくる(或いは税務署へもらいに行くこともできます)納付書に支払額と源泉徴収税額等を記載して、郵便局や銀行の窓口で支払います。

証憑の整理

経費を支出した場合には、請求書や領収証などの証憑の整理・保管にも気を配る必要があります。
各部門で小口現金から支出された経費については、その領収証が入手されていることを確認します。日常の交通費など領収証の入手できない支出については、支払った従業員が作成した旅費交通費の報告書等の資料を必ず保管します。
各部門から経理部門へ支払の依頼がある高額の経費については、各部門での承認がなされた上で、さらに経理部門で適切な支払であることをチェックします。この場合、証憑として納品書と請求書の両方を伝票に添付していることが望ましいのですが、納品書を入手できない場合も多く、請求書のみを根拠に支払を承認することもあります。

仮払金の精算

経費の支出と切っても切れない関係にあるのが、仮払金です。
接待や出張にあたって現金を必要とする場合、実際に支出する従業員は10万円程度の現金を会社から事前に預ります。現金を預った従業員は、支出し領収証を受け取ります。後日会社で、経費支出についての承認を受け、伝票処理を行います。
実際の支払額と、事前に預った金額との間には差額が生じるのが一般的です。不足額が発生している場合には、会社から現金を受け取り、反対の場合には、会社に現金を返還します。
このように、少額の経費の支出のために予め手渡される現金のことを仮払金といいます。
仮払金の精算は、経費支出後直ちに行わなければなりません。通常は、仮払いから1週間といった期限を設けます。出張にあたっての仮払金の精算は、出張から帰ってきた後になりますので、仮払いを受けてから精算までに1週間以上の日数がかかることになりますが、出張から帰った後直ちに精算することをルールとして定めておきましょう。
しかし、実際には仮払金の精算が長期間放置されるケースがみられます。経理部門としては、未精算の仮払金については目を光らせる必要があります。
特に、決算期には全社に呼びかけを行います。決算時期には、仮払金の精算を普段よりも早めに済ませることを心がけてもらいましょう。

固定資産管理について知っておこう

固定資産とは、土地建物や機械のほか、ソフトウェアや出資金などのように、会社が長期間に亘って所有・利用する資産のことをいいます。
固定資産は、経理上、「有形固定資産」、「無形固定資産」及び「投資その他の資産」の3つに分類されます。
(有形固定資産)
有形固定資産に分類されるのは、建物、建物附属設備(照明設備など)、構築物(ドック、橋、岸壁など土地に定着する土木設備又は工作物)、機械装置、船舶及び水上運搬具、工具器具備品、土地などの資産です。
また、これらの資産の建設中に支出した金額を建設仮勘定といい、有形固定資産のひとつとして計上されます。
(無形固定資産)
無形固定資産に分類されるのは、営業権、特許権、借地権、地上権、商標権、実用新案権、意匠権、鉱業権、漁業権、入漁権、ソフトウェアなどの資産です。
無形固定資産は、財産的価値のある権利など目に見えないものです。なかでも、ソフトウェアについては近年その計上額が各社で膨らんできていて重要性が増しています。
(投資その他の資産)
投資その他の資産に分類されるのは、関係会社株式など流動資産に該当しない有価証券、出資金、長期貸付金、長期前払費用などの資産です。
投資その他の資産は、有形固定資産や無形固定資産に分類されない雑多な固定資産が分類されます。

有形固定資産の取得は計画的に

有形固定資産の取得は、通常それに要する対価が高額に上ります。そのため、取得にあたっては、事前の計画、慎重な検討、それに適切な承認が必要となります。
新工場建設や本社社屋の建て替えなどはもちろんのこと、機械設備の更新などについても長期的な計画が欠かせません。なぜなら、有形固定資産はその対価が高額であるだけでなく、一旦取得したら以後長期間に亘って利用していくこととなるためです。更に、取得時の費用以外に、毎年発生するランニングコストも無視できない負担です。
会社の中期経営計画との整合性も計らねばなりませんし、設備投資の経済合理性についての検討も不可欠です。
経理面での検討事項としては、有形固定資産を取得した場合の毎年の減価償却費と、資金計画が特に重要です。

有形固定資産の取得を申請する

有形固定資産の取得にあたっては、稟議申請が必要です。
稟議申請にあたっては、取得する有形固定資産の性能、メーカー、納期、耐用年数、価格、補助金の有無などを総合的に検討した結果を記載します。
経理面からは、その価格が特に問題になります。一定額以上の有形固定資産の取得にあたっては、見積もりを複数の業者から入手するようにしましょう。相見積もりによって、著しく高い金額での取得が防げるだけでなく、発注先に対する心理的な抑制となる効果も期待できます。

有形固定資産の取得

有形固定資産の取得に関する手続は、実際に有形固定資産を利用する部署が担当します。経理部門は、有形固定資産取得に関する経理処理と支払いを担当することになります。
有形固定資産の経理処理は、取得部門から納品書・工事完了報告書などの資料と請求書が回付された場合に、支払事務の処理、仕訳認識をするのと併せて、固定資産台帳への登録を行わなければなりません。
大規模な会社が膨大な固定資産を管理する場合には、固定資産台帳への登録をした後に、一括して仕訳を認識する業務フローを採ることになります。
固定資産台帳には、固定資産に一連の番号を付します。登録する内容は固定資産の名称、取得年月日、稼働開始年月日、取得価額、耐用年数などです。
固定資産台帳に計上されている固定資産の価額と、総勘定元帳に計上されている固定資産の簿価は常に一致していなくてはなりません。月次決算にあたっては、この点を欠かさずチェックしておきましょう。
(固定資産をリースで取得する場合)
固定資産を取得する際に、自社で直接取得せずに、リース会社に取得させた上で、これを賃借することがあります。いわゆるリース取引です。
経済実態をよくみてみると、リース取引は賃貸借取引というよりも、リース会社からお金を借りて固定資産を取得する取引といえます。なぜなら、リース期間の途中で解約できない契約になっており、リース期間が終了する頃には、対象となる固定資産の購入対価と金利相当額をすべて払い終えている場合が多いためです。
このため、経理処理の方法にも二通りあります。
一つは、リース契約締結時には、固定資産を賃借する会社では何の取引も認識せず、リース料を支払ったときに経費の支払として認識する方法です。
もう一つは、リース会社からお金を借りて、リース資産を会社が取得したと考える方法です。
リース契約締結時に、固定資産購入の経理処理を行います。資産として固定資産を認識し、負債としてリース債務を認識します。
その後のリース料支払時には、リース債務の返済と利息の支払いを認識します。
多くの会社では、貸借対照表に計上される固定資産の金額を小さくしたいと考えるため、リース契約締結時には、取引を認識せず、リース料を支払ったときに経費の支払として認識する方法を採用しています。ただし、リース資産の金額に重要性がある場合には、リース契約締結時に、固定資産購入の経理処理を行う方法を採用しなくてはなりません。

固定資産の修繕費

固定資産を保有していると、定期的なメンテナンスが必要になります。また、突発的に修繕が必要となることも少なくありません。
これらのメンテナンス費用については、経理処理上、一時の費用として処理する場合と、固定資産として計上する場合とがあります。
後者の場合を「資本的支出」といいます。
資本的支出に該当するかどうかは、税務上の取扱いが特に問題となります。なぜなら、修繕費として費用処理した場合には、法人税等が少なくなり、資本的支出として処理した場合には、反対に法人税等が多くなるためです。
そのため、税務調査でも必ずチェックされるポイントです。経理処理にあたっては、この点に常に留意しましょう。
税務上の取扱いとしては、次のように定められています。
(修理、改良などの支出のうち、固定資産として計上するもの)
①資産の使用可能期間を延長する効果がある支出
②資産の価額を増加させる効果がある支出

少額な固定資産

機械や器具備品などの固定資産であっても、取得価額が10万円未満であるものは、固定資産として計上せずに、事業の用に供した事業年度の費用として処理することが一般的です。
これは、税務上の取扱いに従った経理処理です。
この場合、取得価額が10万円未満かどうかの判定は、「通常1単位として取引される単位」で行います。
例えば、デスクトップ型パソコンの本体(80,000円)とディスプレイ(50,000円)を併せて購入した場合には、本体とディスプレイがセットで「通常1単位として取引される単位」ですから、取得価額120,000円が10万円以上であるため、消耗品費で処理することはできません。
なお、取得価額が10万円以上20万円未満の資産の取得については、上記とは別に一括償却資産の取扱いが定められています。
さらに、中小企業については、税務上の特例措置が認められており、 令和4年3月31日 までの間に取得した償却資産については、 一定の要件のもとに、 取得価額が30万円未満の場合に、事業の用に供した事業年度の費用として処理することが認められているため、経理上も30万円を基準に固定資産として計上するかどうかの判断を行うこととなります。

使用可能期間が1年未満の固定資産

使用可能期間が1年未満の減価償却資産も、税務上の取り決めに従い、固定資産として計上せずに、事業の用に供した事業年度の費用として処理します。

固定資産の現物管理

固定資産は、取得後長期間にわたって使用するものですから、紛失、盗難や災害による滅失などがないように、継続的に現物を管理することが必要です。
現物管理をするためには、まず資産ごとの管理責任者を決定します。会社によっては、管理責任者を決めるかわりに管理部署を決めるケースがありますが、これでは管理責任があいまいになりがちです。また、使用する部門長を管理責任者にするケースでは、1人当たりの管理資産数が膨大になってしまい、全ての資産には目が届きません。
パソコンのような小さな資産では特に使用者個々人を管理責任者とするなど、1人当たりの管理資産数を減らすことが理想です。

固定資産の除却

一定期間、固定資産を使用すると、寿命が到来し、資産を廃棄することとなります。まだ使用できる状態であっても、陳腐化した場合などには資産を新しいものと取り替えることとなります。
この場合、固定資産の除却処理を行います。
固定資産の除却は、現物を管理する部門から経理部門に対して、除却の報告を行います。
除却の事実を証拠として残すために、廃棄の様子を写真に残したり、資産を廃棄した証明書を処分業者から入手します。

固定資産の移動

固定資産の使用期間中に、その設置場所を移動することがあります。この場合、固定資産の移動を管理部門から経理部門に報告することが必要です。
なぜなら、固定資産にかかる償却資産税は、各資産の所在する市町村に対して支払うためです。経理部門では、固定資産の所在場所を常に正しく把握している必要があります。

固定資産の現況調査

固定資産の現況調査は、各資産の管理責任者が、固定資産が実在することを確かめ、更に故障や滅失の有無、所在場所などをチェックして、固定資産台帳に登録されているデーターが正しく登録・更新されていることを確認する作業です。
日常の管理において、固定資産の除却や移動が正しく把握・報告されていない場合に、固定資産台帳を修正する良い機会となります。

固定資産税・都市計画税の納付

土地・建物を所有していると固定資産税が課されます。また、土地・建物が所在する地域によっては、都市計画税が課されることがあります。
固定資産税は、土地・建物の価格として市町村が評価した固定資産税評価額に応じて課されます。都市計画税も同様です。
固定資産税評価額に一定の負担調整措置を施して算定した固定資産税課税標準額に対して、標準税率1.4%を乗じて税額を算定します。都市計画税は同様に、標準税率0.3%を乗じて税額を算定します。
固定資産税・都市計画税については、申告は必要ありません。毎年市町村長から税額の通知があります。
納付は、例えば、4月、7月、12月、翌年2月などの4回に分けて行います。

償却資産税の申告

土地・建物以外にも機械や器具備品などの償却資産を所有している場合には、これらについても固定資産税が課されます。償却資産に対して課されるため、土地・建物に係る固定資産税と区別して償却資産税と一般によばれています。
償却資産税は、所有者である会社が毎年1月に申告書を提出します。
償却資産税は、償却資産が所在する市町村に対して申告、納税します。そのため、経理部門では、償却資産がどの市町村に所在するかを固定資産台帳等で把握している必要があります。
税率や納付時期は土地・建物の固定資産税と同様です。

賃貸不動産の管理と収支把握

自社の事業に直接使用する目的で所有している製造設備や本社社屋の他に、第三者に賃貸する目的で所有しているテナントビルや賃貸マンションなどはありませんか?
このような賃貸不動産については、それぞれの物件の収支を個別に把握することが必要です。
適切な賃料水準の設定ができていない場合や、空室が多い場合などには、この収支が赤字になりますので収支を改善するための対策を立てなければなりません。
また、減損会計の適用にあたっても、賃貸不動産は個別の収支管理が欠かせません。

遊休固定資産の管理

固定資産の中には、現在使用していない遊休状態のものがありませんか?
例えば、稼働率が下がったため使用を停止している製造用機械や閉鎖した店舗跡地などです。
このような遊休固定資産については、遊休状態にあることを把握しておかなければなりません。その上で、毎年発生する固定資産税などの費用を把握します。
遊休固定資産については、会社に収益をもたらしませんので、利用方法を見つけ出すか、早期に売却などの処分を検討することが望まれます。
また、減損会計の適用にあたっても、遊休固定資産の時価の把握や、毎年のコストを把握する作業は欠かせません。

有価証券に関する規程を整備する

有価証券とは、株や国債などの金融商品をいいます。
会社の本業以外に、有価証券の売買で利益を得ようとする場合、有価証券の運用に関する規定を整備することが欠かせません。
有価証券の取得や売却にあたって判断のよりどころとなる基本方針を定め、さらに取得や売却の承認を必要とする牽制組織を備えるためです。
資金運用部など、有価証券の投資を専門に扱う部署がある場合には、経理部門との牽制作用が期待できますが、小さな会社では経理部門が有価証券の投資を扱う場合が少なくありません。
この場合、経理部門の有価証券運用について会社として定期的なチェックを行わなければなりません。内部監査室の監査の対象とするなどの方法が考えられます。

有価証券の取得

有価証券の取得にあたっては、取得を申請する担当部門が稟議書を作成します。
稟議書には、その有価証券の取得目的が、短期の余資運用であるのか、中長期の運用であるのか、長期の営業政策上の投資なのかを明らかにした上で、その取得が社内規定上妥当なものであることを明らかにします。対象となる有価証券の格付けや期待される運用利回り、値上がり益など詳細な資料も添付します。
取得が社内的に認められた場合には、経理部門に支払いの申請を行い、決済します。経理部門では、資金決済と経理処理を行います。

有価証券の売却

有価証券の売却にあたっては、売却を申請する担当部門が稟議書を作成します。
稟議書には売却する理由や、売却によって計上される損益などを記載しなくてはなりません。
特に関係会社株式の売却などについては、その売却の理由が全社的に検討される経営問題である場合も多いため、注意が必要です。
売却が社内的に認められた場合には、経理部門に入金があることを知らせます。経理部門では、入金の事実を確認し経理処理を行います。

有価証券の残高管理

有価証券については、所有する銘柄ごとに取得価額や所有数を登録する有価証券台帳の作成が欠かせません。
これを作成することで、銘柄ごとの状況を把握することができます。
有価証券についても、現預金と同様に決算時には必ず実査を行います。有価証券台帳に登録されている所有数と実査の結果とを照合し、一致していることを確かめなくてはなりません。

貸付金管理について知っておこう

金融機関でない会社が、資金を貸し付けることはそれほど頻繁に起こることではありません。
一般事業会社において、貸付金が発生するのは次の場合に限定されます。
1.グループ会社への貸し付け
2.取引先への貸し付け
3.従業員への貸し付け

グループ会社への貸し付けの留意点

子会社を多数抱える企業グループにあっては、グループ全体としての資金効率を考えることが重要になります。
一部の子会社で大きな資金余剰が発生していて、銀行預金などでプールしていながら、もう一方で金融機関から高い金利で資金を調達している子会社あるような場合は、グループ全体として考えた場合に、不必要な金利を支払うことになるからです。
グループ内での資金の融通を検討しなくてはなりません。

貸し付けを決定するまでの手続き

会社の資金を貸し付ける場合には、社内で稟議申請し承認を受けることが必要になります。
特に、貸付金については、融通した資金が回収できなくなる「貸倒れ」が発生しないように注意しなくてはなりません。資金を貸し付けることができるか否か、また、貸し付ける場合には限度額、返済期限、利率などの諸条件を決定するための情報が稟議書には記載されます。このためには、融資先の財政状態を把握することが欠かせません。
貸付先の決算書は必ず入手します。
入手した決算書については、分析を加えます。貸付先が借入過多に陥っている場合や、恒常的に赤字を計上している場合などには貸倒れの危険性が高いと判断されます。
また、決算書の分析と併せて、資金使途や担保等を検証し、融資の妥当性を検証します。

金銭消費貸借契約締結と融資の実行

融資について、社内での承認が得られた後、金銭消費貸借契約書を作成し、資金を貸付先に対して支払います。
貸し付けを担当する部署が、経理部門とは別にある場合には、担当部門から経理部門に対して回付された支払いの依頼に基づいて、経理部門で内容をチェックした上で振込みなどによって支払いを実行することになります。
小さな会社であれば、金銭消費貸借契約書の作成から支払いまですべてを経理部門が担当することになります。

貸付金の元本・利息の回収

資金を貸し付けた後は、契約どおりに返済と利払いが行われることを確認することが必要になります。
通常は、会社の預金口座に返済元本と利息が振り込まれます。
経理部門では、貸付先ごとに毎回の返済額を管理しておき、期日どおりに振込みがあることを確かめます。
入金を確認後、経理部門では仕訳データーを入力します。
貸付先から契約どおりに返済がなかった場合には、電話などで督促を行います。この督促は、返済が遅れた場合、直ちに行われなければなりません。経理部門では、絶えず貸付金の回収状況に注意が必要です。

貸付金の残高管理

貸付金についても、貸付先ごとに残高を把握することが必要です。
貸付先ごとの残高や返済予定などを管理する目的で貸付金管理台帳を作成します。
経理部門では、返済を受けた際に、元本部分と利息部分に分けて経理処理する必要がありますが、この計算も貸付金管理台帳上で行います。

資金繰りとは

経理部門の日々の仕事として、記帳と並んで重要なのが資金繰りです。記帳を担当する経理部門と、資金繰りを担当する財務部門とは別々に組織されているケースがありますが、小規模な会社であれば一般的には経理部門で資金繰りを担当します。
資金繰りとは、予定される支払いと代金回収のタイミングを見計らい、資金が不足する場合には借入れなどによって資金不足を補いながら会社の支払い業務を円滑に行うことをいいます。
大規模な設備投資を行う会社であれば、会社の中長期経営計画とも整合性のとれた資金計画を策定し、巨額な設備資金の調達・返済計画を立てます。
一方、規模の小さな会社であって、特段の設備投資が必要とならない会社であれば、毎月の資金繰り計画だけを立てることになります。中小企業の多くは、資金繰り表の作成だけで資金繰りを行っています。

資金繰り表

資金繰り表は、毎月の支払いと入金を予測して、将来のどの時点で資金不足が生じ、いくらくらいの資金調達を行う必要があるかを把握するためのツールです。
通常は、月次ベースで作成します。期間は半年程度先までを予測するものが一般的です。
一般的には月次ベースの資金繰り表を作成することで、資金繰り管理は十分行えます。ただし、資金繰りが厳しく現預金残高の少ない会社の場合には、これに加えて日次ベースでの資金繰りを同様の方法で把握することになります。

借入金による資金調達

資金繰りを管理していると、通常は資金が不足するタイミングがでてきます。特に、決算から2ヶ月以内に必要となる納税資金と年2回の賞与資金は会社にとって負担が重いものです。他に、設備投資を行うための資金が必要となる場合も、その額が大きいため資金手当てが必要です。
支払資金を用意するためには、銀行など金融機関から借入金によって資金調達することが一般的です。
会社としては、どの金融機関から資金を借り入れるかを最初に検討します。通常は、取引のある銀行、信用金庫、信用組合などに相談し資金を借りることとなります。中小企業の場合であれば、銀行からの借入れが難しいため、国民生活金融公庫などの政府系金融機関から借りることも多いでしょう。
融資を受ける際には、借入希望額、資金使途、希望する返済方法・期限などを金融機関に説明しなくてはなりません。その際には、会社の決算書の提出が必要となりますので、あらかじめ準備しておきましょう。

借入金の種類

金融機関からの借入金には、いくつもの種類があります。
売上代金を手形で回収する会社であれば、手形割引が頻繁に利用されます。手形割引は、手形の振出人の信用力がある場合には、銀行としても貸倒れの危険性が小さく、しかも運転資金への融資であることがはっきりしているため融資には積極的に応じてくれます。
他に、最近では、ビジネスローンと称して、無担保で短期間の運転資金を貸し付ける商品が広がりをみせています。ビジネスローンは、銀行が開発したコンピューターシステムにより、会社の決算書等から貸倒れの確率を統計的にはじきだし、融資の可否、利率などを機械的に判定するというものです。
長期の設備投資資金を借りるのであれば、証書借入が一般的です。長期の借入れにあたっては、不動産担保などを提供することが通常は求められます。さらに、信用力の劣る中小企業の場合、信用保証協会の保証を受けることが求められるケースが少なくありません。

月次決算とは

会社が外部に公表する決算書を作成するのは通常年1、2回です。しかし、会社内部で経営管理を目的として業績を把握する作業は毎月行います。
この作業の中心となるのが、月次決算です。

簡便な手続で計算する

月次決算においては、迅速な作業が求められます。翌月10日までに、月次決算書の作成を完了しているのが理想的です。
なぜなら、月次決算は会社の日々の動きを的確に把握して、会社の経営判断に役立てるものだからです。リアルタイムに会社の状況を把握できなければ、的確な経営判断はできません。
しかし、決算の作業には時間がかかるものです。
そこで、月次決算では、本決算に求められるような正確な処理は必要とされず、概算計上など簡便な処理が用いられる項目が多数あります。
例えば、固定資産の減価償却費、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金などは、正確な計算を省略して、1年間の予想発生額を月割りで概算計上する手法が頻繁に用いられます。
他には、前払家賃や未払水道光熱費などの勘定科目の計上を省略したり、前年同月と同額で仮計上するなどの簡便法が用いられます。
いずれも、月次の経営成績の把握に大きな影響を与えない範囲で、決算手続を効率的に行うものです。もし、急な設備投資で減価償却費が予定よりも急に膨らんだ場合や、水道光熱費の毎月の使用量に大きな変動があり、その金額が重要な意味を持つ場合には、これらの簡便な方法を採ることはできません。

予算と実績を対比する

月次決算の結果については、予算と比較して、売上や利益の達成状況を検討します。
例えば、事業年度の最初の3ヶ月経過時点で、年間予算の12分の3の売上が計上されていれば、ほぼ計画予算通りに営業されていると考えることができます。
反対に、計画予算通りに売上が計上されていない場合には、その原因を分析し、対処法を検討しなくてはなりません。月次決算の結果は、営業や製造の現場にフィードバックされて、日々の活動を改善するための情報となります。
ここで、注意すべき点は、業種によって売上の季節変動がある点です。例えば、チョコレートのメーカーであれば、2月に売上の大半が集中しますし、建設業であれば、3月に完成工事高の大半が計上されます。そのため、単純に月割計算だけでは予算の達成度合いを判断できないこともありますので、会社ごとに工夫が求められます。

前年同期と実績を対比する

月次決算の結果は、前年同期の実績値とも比較して、売上や利益の達成状況を検討します。
特に、営業内容に大きな変化がない場合には、前年同期を上回る売上高を計上することは最低限の目標となります。
仮に、前年同期の売上を下回っている場合には、その原因を分析し、対処法を検討しなくてはなりません。

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