会社様に節税対策のご提案。
まじめに税金を考えます。

決算は、年に一度のメインイベント

1年に1度は決算を行い、会社の経営成績と財政状態をきちんと把握することが必要です。日常の記帳業務と異なり、特別な処理が多数必要となります。 ここでは、決算に特有の事項をみてみましょう。

税務申告のスケジュール

決算のスケジュールで、実務上、最も意識されるのは、法人税の申告期限です。
税務上、申告書の提出期限は、決算日から2ヶ月以内(厳密には決算日の翌日から2ヶ月以内)とされています。
ただし、会計監査人の監査を受けなければならない会社や、株主総会が決算日から3ヶ月以内に開催されることが定款で定められている会社などは、あらかじめ税務署長に申請することで申告期限を1ヶ月延長することができます。
実際には、会計監査を受けていない中小企業であっても、株主総会の開催を決算日から3ヶ月以内と定款で定めておき、申告期限の1ヶ月延長を申請している例が多くみられます。
ただし、注意しなくてはならないのは、申告期限について延長が認められても、税金の納付については延長した期間について利子税が課される点です。利子税を避けるためには、決算日から2ヶ月以内に税額を算定しておき、見込納付を行います。
結果、多くの会社は決算日から2ヶ月以内に、決算を仕上げ、税額計算までを完了させています。

決算内容をあらかじめ予測する

決算が近づくと、経理部門ではその年の決算がどの程度の成績となるかを予測します。
通常は、月次決算の結果から、営業成績の好不調やコストの発生状況については把握できます。特に、年度始めに策定した予算や、前年同期実績との比較を行うことで、本決算の成績は予測できます。
ただし、決算日が来るまで確定しない項目があります。
最も影響が大きいのは、為替レートの変動です。外貨建て取引を行っている会社にあっては、決算日の為替レート次第で、外貨建て資産の計上額が大きく変わります。為替レートは短期間のうちに変動することが珍しくないため、経理部門では、為替レートの変動によって決算の成績がどの程度変動するかを検討します。
また、株や社債など有価証券についても、取引所の相場がある場合には、短期間のうちに大きく変動することがあります。そのため、時価の変動する有価証券などを保有している会社では、これらの価格変動が決算に与える影響を検討しておくことが欠かせません。
有価証券を直接保有していない会社でも、企業年金の年金資産の運用を通して有価証券の価格変動の影響を受けるケースがあります。
経理部門では、このように営業成績とは直接関係のない要因による決算への影響を常に注視している必要があります。

巨額な利益・損失を把握する

決算にあたっては、臨時巨額の利益や損失についてあらかじめ把握しておくことが必要です。
例えば、会社が古くから所有する土地を売却する場合などには、巨額の利益が計上されることがあります。
反対に、バブル期に取得した土地を売却する場合には、巨額の損失が計上されます。ほかに、リストラに伴う割増退職金、不採算な子会社を清算した場合に計上される子会社整理損、地震や台風などの被害を受け固定資産が毀損した場合の災害損失などがあります。
最近では、税効果会計が導入されたため、繰延税金資産の計上額が毎年の決算数値を大きく変動させる要因となっています。
これらについては、決算作業を開始する前に、あらかじめ計上額を把握しておきます。経営陣には、本業の営業成績の報告に加えて、これらが決算に与える影響も報告しておかねばなりません。
特に、臨時巨額の損失が発生する場合には、当期純利益を赤字にしないために何らかの利益を計上して穴埋めするなどの手当てを行うことがあります。
穴埋めのための手法としては、含み益の生じている不動産や有価証券を売却する手法が一般的です。

納税額もあらかじめ検討する

決算前に、課税所得と納税額を検討することも欠かせません。
営業成績が好調で、課税所得が膨らみ過ぎる場合には、経費を前倒しで支出することもあります。また、生命保険やレバレッジド・リースなどの節税商品を利用して、課税所得を繰り延べることも検討します。
反対に、赤字が続き、繰越欠損金が切り捨てられる場合には、含み益の生じている土地や有価証券を売却して課税所得を増加させる工夫が求められます。

会計基準の変更に対応する

会社の経営は従来どおり行われている場合でも、会計基準が変更になり、決算に大きな影響を与える場合があります。
決算にあたっては、会計基準の変更が自社に与える影響を、事前に把握しておくことが必要です。

税制改正には注意が必要

会計基準の変更に併せて、税制改正にも注意が必要です。
例年、12月に政府税制大綱が公表され、翌年3月末までには改正税法が参議院を通過します。
このタイミングで、税制改正が与える影響を検討しておくことが必要です。
例えば、土地重課制度や、買換えによる圧縮記帳などの制度は頻繁に改正されます。そのため、土地の売却を考える際には、これらを常に把握しておき、税法上の恩典を受けられるタイミングでの売却を心がけます。
さらに、税制改正が事務作業に影響を与えることもあります。
決算で申告書を作成する段階になって、始めて税制改正を認識するようでは遅すぎます。
事前の準備を周到に行いましょう。

会計事務所との決算打ち合わせ

決算にあたっては、事前に会計事務所との打ち合わせが必要になる場合もあります。
公認会計士の監査を受けている会社にあっては、イレギュラーな事項については、必ず事前に公認会計士に相談し了承を得ておきましょう。事前の相談をせずに、会社の意向で行った経理処理が公認会計士に受け入れられなかった場合、決算を組み直すことになります。
決算前に相談しておくことで、急な決算修正は防止できます。
また、減価償却方法を定率法から定額法に変更するなど、「会計方針の変更」を行う場合にも、監査を担当している公認会計士に事前に相談し了承を得ておきましょう。
監査を受けていない場合には、顧問会計事務所とは納税額をどの程度にするかを相談しておきます。決算日が到来する前であれば、会計事務所のアドバイスを実行することで節税対策を講じることも可能です。

売上に関する資料をチェックする

決算にあたっては、1年間の売上に関する資料が営業部門から回付されます。この資料については、経理部門でもチェックする必要があります。
経理部門で注意するのは、架空売上の計上がないかどうかという点です。
売上ノルマを課された営業マンは、目標を達成すべく決算直前にまとめて大きな売上を計上します。中には、決算日翌日の出荷を決算日の出荷と偽ったり、決算後ただちに返品処理する約束で、得意先に一時的に商品を納品させてもらうことがあります。あるいは、実際に納品していないにもかかわらず、売上の伝票処理を行う架空売上もみられます。
このような架空売上を放置しては、会社の正しい営業成績を把握することができないだけでなく、粉飾決算として法令違反に問われることもあります。
そこで、経理部門では決算月の売上については特に注意して売上計上の妥当性を検討します。
反対に、決算日までに売上計上すべきものを、翌期の売上とするケースもみられます。これは、営業担当者が当年度のノルマを達成した場合に、売上成績を翌期に回す目的で行われるものです。こちらについては、課税所得が小さく計上され、結果的に脱税となります。
経理部門では、決算日前後の売上の計上時期が適切かどうかを注視します。

売掛債権の回収可能性をチェックする

決算においては、滞留売掛金についての検討を行います。
通常、滞留売掛金については、営業担当者がその回収可能性について検討し、見通しを報告し、営業部門で取りまとめて経理部門に資料が回付されます。
しかし、営業部門から回付された滞留売掛金についての資料については、経理部門でのチェックが欠かせません。
滞留売掛金が発生すると、営業部門では担当者の責任が問われます。そこで、営業担当者は滞留売掛金については、甘い見通しを報告する傾向にあります。
そのため、滞留売掛金の回収見込についての営業部門からの報告を鵜呑みにすると、翌期以降貸し倒れが増大するおそれがあります。決算において正しい債権の評価を行うためには、経理部門で滞留売掛金の回収見込を厳しくチェックすることが必要です。

貸し倒れの処理を行う

決算にあたって滞留売掛金の検討を行った結果、回収できないと見込まれる売掛金については、貸倒処理を行います。
貸倒損失の計上については、会計上の取扱い(金融商品会計基準など)と税法上の定め(法人税法など)との間で一致しない点が多くみられます。ほとんどの会社では、税法上の定めに従って処理していますので、ここでは税務上の貸倒の取扱いをみてみましょう。
税務上の貸倒損失は、3つのステップで判定されます。
STEP1 法律上の貸し倒れ
1.会社更生法若しくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画の認可の決定又は民事再生法の規定による再生計画の認可の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額を貸倒損失とする。
2.商法の規定による特別清算に係る協定の認可又は整理計画の決定があった場合において、これらの決定により切り捨てられることとなった部分の金額を貸倒損失とする。
3.法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額を貸倒損失とする。
イ 債権者集会の協議決定で合理的な基準により債務者の負債整理を定めているもの
ロ 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容がイに準ずるもの
4.債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合において、その債務者に対し書面により明らかにされた債務免除額を貸倒損失とする。
STEP2 明らかに回収できない債権の貸し倒れ
債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸し倒れとすることができる。
STEP3 一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸し倒れ
債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権について、当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとすることができる。
1.債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
2.法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき

貸倒引当金を計上する

滞留売掛金のうち、貸倒損失を計上するには至らなかったものについても、回収できないと見込まれる金額については、一定の評価減を行う必要があります。そのため、決算においては、売掛金などの金銭債権について、貸倒引当金を計上します。
また、貸倒の兆候がない売掛金についても、翌期に一定割合で貸倒が発生するため、これに備えて貸倒引当金を計上します。
貸倒引当金の計上についても、会計上の取扱いと税法上の定めとの間で一致しない点が多くみられ、ほとんどの会社が税法上の定めに従って処理しています。

決算日前後の仕入は計上日に注意

決算日前後の仕入については、その計上日に注意が必要です。
決算日までに納品を受けた場合は、当期中の仕入及び買掛金として計上し、決算日後に納品を受けた場合は、翌期の仕入及び買掛金として計上しなければなりません。
もし、決算日までに納品を受けたにもかかわらず、翌期の仕入として経理処理した場合、決算日の営業終了後に行われる実地棚卸においては期末在庫としてカウントされてしまいますので、その分だけ当期利益を過大に計上することになってしまいます。

経費の計上漏れにも注意

経費についても決算日前後に発生したものについては、その計上日に注意が必要です。
特に多いのは、伝票処理が遅れたため、経費及び未払金の計上が翌期にずれ込むケースです。決算時期は、伝票処理を早めに行うよう社内に周知徹底することが必要です。
反対に、決算日後の経費を、決算日までに発生したものと偽って伝票を回付してくるケースもあります。これは、事業年度ごとに策定される予算に未消化の経費予算枠がある場合に、これを利用する目的で行われます。
経費の前倒し計上は、税務調査でも問題視されますので、これを防止するよう経理部門では各部門から回付された伝票のチェックが欠かせません。

在庫評価と売上原価

決算にあたっては、期末在庫の評価と売上原価の算定を行います。
在庫の評価と売上原価の算定は表裏一体の関係にあります。これは、期中に購入した商品(又は製造した製品)の取得価額を期末在庫と売上原価に分けるためです。
売上原価の計算は、一般に次の算式で示されます。
売上原価の計算式
商品売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高
製品売上原価 = 期首製品棚卸高 + 当期製品製造原価 - 期末製品棚卸高
期首商品棚卸高と当期商品仕入高は、前期の帳簿と期中の購入の記録から明らかですから、決算の作業で期末商品棚卸高を算定することで、売上原価の額が求められます。
期末商品棚卸高の算定にあたっては、期末の商品の実在庫数と、各商品の単価を算定することが必要です。特に、期末の商品の実在庫数を把握するための作業として実地棚卸が欠かせません。

実地棚卸とは

棚卸資産の管理で非常に重要な手続が実地棚卸です。
実地棚卸とは、棚卸資産の在庫数を実際に数えることをいいます。会社の全ての在庫を数えるのは非常に時間のかかる作業です。通常は、決算日の営業終了後に棚卸を実施します。
実地棚卸では、単に品目ごとの在庫数をカウントするだけでなく、保管中の破損等で不良品になっているものがないかどうか、長期間出荷されず滞留している在庫がないかどうかも併せてチェックします。
このような実地棚卸を実施する目的は、決算日における在庫金額を確定することにあります。商品元帳で把握している理論上の在庫量と実際に数えた在庫量との間に不一致があることは珍しくありません。
このような不一致が発生した場合には、商品元帳の数字を実際の数字に訂正します。

実地棚卸の手順

実地棚卸を実施するためには、事前に入念な計画を立てることが必要です。
まず、実地棚卸を実施する日時を決定します。その上で、倉庫を区分けし、棚卸担当者を割り振ります。さらに、実地棚卸を実施する上での注意点をまとめた説明書を作成し、これらを社内に配布します。
棚卸当日が近づいてきたら、倉庫の整理に努めます。在庫が倉庫内のあちらこちらに点在しているようでは数え間違いも起こりやすいため、同じ商品はできるだけ一箇所に集めます。
棚卸当日には、検収の済んでいない在庫は別に把握し、在庫から除外されるディスプレイ用品などには「棚卸除外品」などと表示しておきましょう。
棚卸の各担当者が実際に数量をカウントした際、その結果を記録する棚卸票などを準備します。棚卸票は事前に準備したものがすべて回収できるように、あらかじめ連番を付して管理します。
すべての在庫のカウントが終わり、棚卸票を回収し終わったところで棚卸は終了です。

棚卸の結果を検証する

実地棚卸によって判明した実在庫数と帳簿上把握している在庫数との間に不一致が生じることがあります。
この場合、そのような不一致が生じた原因を分析することが必要です。
例えば次のようなことが原因として考えられます。
・在庫受け入れ時の計上が漏れた
・在庫払い出し時の計上が漏れた
・在庫受け入れ時の単位が間違っていた
・在庫払い出し時の単位が間違っていた
・在庫受け入れ時の品番が間違っていた
・在庫払い出し時の品番が間違っていた
・見本品等としての在庫払い出しが未認識
・万引き等
上記の原因のうち、在庫の受け払い時の計上誤りについては、帳簿記録を正しく修正することが必要です。
しかし、万引き等によって在庫を失った場合には、原因が判明しません。この場合には、帳簿記録を実在庫数に合わせます。多くは実在庫数が帳簿に記録されている在庫数よりも少ないため、経理上は「棚卸減耗損」を計上することになります。
また、滞留在庫や陳腐化品については、時価が帳簿価額を著しく下回った場合に、損失を計上して帳簿価額を引下げる処理を行います。

棚卸資産の評価方法

棚卸資産の評価方法とは、決算日までに取得した棚卸資産を、期中の売上に対応する費用と期末の在庫に対応する資産とにどのように配分するかの取り決めのことをいいます。
棚卸資産の評価方法としては、次のような方法が挙げられます。
(棚卸資産の評価方法)
(1)個別法
棚卸資産の取得原価を異にするに従い区別して記録し、その個々の実際原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
宝石のような商品の個性が個別に認識される場合の評価方法として採用されます。
(2)先入先出法
最も古くから取得されたものから払い出しが行われ、期末棚卸資産は最も新しく取得されたものからなるものとみなして期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
実際の商品の払い出しは先入先出になることが多いため、実態に最も近い評価方法といえるでしょう。
(3)平均原価法
取得した棚卸資産の平均原価を算出し、この平均原価によって期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
平均法には、期首の在庫と期中の受入高の加重平均単価を用いて計算する総平均法と、在庫受け入れの都度、加重平均単価を計算しなおす移動平均法の2種類があります。
先入先出法の場合、期中に払い出した商品の原価が計算できませんが、平均原価法(移動平均法)であればそのつど計算できるというメリットがあります。
(4)売価還元原価法
異なる品目の資産を値入率の類似性に従って適当なグループにまとめ、1グループに属する期末棚卸資産の売価合計額に原価率を適用して期末棚卸資産の価額を算定する方法です。
スーパーマーケットやホームセンターなど小売業で採用されている方法です。
棚卸資産の評価方法は、期末の棚卸資産の評価額を算定するための一定の仮定です。実際に商品が先入先出の方法によって払い出されているかどうかは関係ありません。
会社は任意の評価方法を選択できますが、一旦採用した評価方法はいたずらにこれを変更することはできません。
また、実務上は「最終仕入原価法」という方法も頻繁に用いられます。これは、期末に最も近い時点の仕入時の単価を用いて期末棚卸資産の評価額を算定する方法です。最終仕入原価法は会計上の正しい評価方法として認められていませんが、税法で認められているため、この方法を採用している中小企業は非常に多いようです。計算も簡単ですし、実務上の感覚にも合致しています。

在庫の評価額をチェックする

棚卸によって、在庫の状況を把握しますが、その際に滞留在庫については、今後の処分方針を現場に確かめる必要があります。
販売が困難と見込まれる在庫については、評価減など経理上の処理を施さなくてはならないからです。
しかし、在庫の管理責任者は販売不可能な不良在庫を抱えた責任を明らかにしたがらず、甘い販売見通しを報告する傾向にあります。
経理部門で滞留在庫の販売見込を厳しくチェックすることが必要です。

減価償却とは

固定資産については、土地や美術品など経年によってその価値が下がることのないものを除いて、毎年その資産計上額を少しずつ費用処理していきます。
この経理処理が減価償却です。
減価償却は、固定資産の利用期間にわたって、取得価額を費用として各事業年度に配分する手続であるといえます。
決算にあたっては、固定資産の減価償却費を計算し、費用として計上するとともに、固定資産の簿価を減ずる処理を必ず行います。
この減価償却については、減価償却費として計上すべき金額の計算方法に一定のルールがあります。
減価償却の方法としては、複数の方法が認められています。
(企業会計上認められる減価償却方法)
定額法・・・固定資産の耐用期間中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法
定率法・・・固定資産の耐用期間中、毎期期首未償却残高に一定率を乗じた減価償却費を計上する方法
級数法・・・固定資産の耐用期間中、毎期一定の額を算術級数的に逓減した減価償却費を計上する方法
生産高比例法・・・固定資産の耐用期間中、毎期当該資産による生産又は用役の提供の度合いに比例した減価償却費を計上する方法
会社はこの中から最も適切に会社の営業成績と財政状態を示すことのできる方法を選択し、継続して適用することとなります。

定率法とは

定率法による減価償却費の算式は次のとおりです。
減価償却費 = ( 取得価額 - 減価償却累計額 ) × 償却率
上記算式の「減価償却累計額」とは、前事業年度末までに計上した減価償却費の累積金額です。定率法による減価償却費の計算は、固定資産の帳簿価額に償却率を乗じるものです。
定額法の算式と異なり、残存価額を控除することはありません。これは、耐用年数経過時点で帳簿価額が残存価額となるように、定率法の償却率があらかじめ設定されているためです。定率法の償却率についても税法上の定めがあります。

法定耐用年数

減価償却費を計算する際の耐用年数は、対象となる固定資産が実際に使用される期間を合理的に計算して求めるべきものです。したがって、会社が過去の経験、将来の予測、その他それぞれの個別的事情を十分に考慮して自主的に決定することとされています。
しかし、税務上は各企業の自由に任せた場合、耐用年数を短くすることで減価償却費を過大に計上し、納税を回避しようとする動きが生じるおそれがあります。そこで、税法において固定資産の種類ごとに耐用年数を決定しています。
これが法定耐用年数です。
税法で強制されるためほとんどの会社は、この法定耐用年数を用いて減価償却費を計算しています。

特別償却

通常の減価償却に加えて、設備投資当初に固定資産取得額の一定割合を、法人税計算上の費用(損金)とできる制度があります。
これを特別償却といいます。
特別償却は、国が政策上の目的に沿った設備投資を促進する目的で認められているものです。そのため、対処となる設備が限定されています。
(租税特別措置法に定められている特別償却)
中小企業者等が機械等を取得した場合等の特別償却
情報通信機器等を取得した場合等の特別償却
特定電気通信設備等の特別償却     など他多数
特別償却は、通常の減価償却とは異なるため、これを費用として計上する方法のほかに、利益処分により特別償却準備金を積み立てる方法などがあります。

減損会計とは

会社が有する固定資産の価値が下がった場合に、貸借対照表に資産として計上している金額を減らし、同時に損益計算書に損失を計上する会計が義務付けられています。
これを減損会計といいます。
バブル経済崩壊後、土地をはじめとする固定資産の価格や収益性が大きく低下することは珍しくなくなりました。これを決算書において適切に情報開示する目的で減損会計は導入されました。
減損会計によって、会社は、これまでのように土地など固定資産の含み損を隠しておくことができなくなりました。
減損会計の適用は以下の手順で行います。
(減損会計の手順)
1.固定資産のグルーピング
独立したキャッシュ・フロー生成単位ごとに固定資産をグルーピングします。
2.減損の兆候
減損の兆候がある資産を識別します。
3.減損損失の認識
減損の兆候があると判定された資産について、減損損失を認識するかどうかを判定します。
4.減損損失の測定
減損損失の測定は、次の算式で表されます。
減損損失=帳簿価額-回収可能価額

引当金いろいろ

決算においては、翌期以降に発生する費用又は損失に備えて引当金を計上することがあります。
引当金とは、将来の特定の費用又は損失であって、その発生が当期以前の事象に起因し、発生の可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合に、当期の負担に属する金額を当期の費用又は損失として引当金に繰入れ、当該引当金の残高を貸借対照表の負債の部又は資産の部に記載するものです。
具体的には、貸倒引当金、退職給付引当金、賞与引当金、製品保証引当金、修繕引当金、債務保証損失引当金などがあります。
引当金は、将来確定する損失をあらかじめ見込んで計上するものですから、これを過少に計上することで当期の利益が過大に表示されるおそれがあります。したがって、決算書に当期の利益を適切に表示するためには、正しく計算してこれを計上することが望まれます。
その反面、税金の計算にあたっては、引当金の繰入額(繰入損)を費用(損金)として認めないことを原則とし、一部例外的に損金算入が認められるだけとなっています。

退職給付引当金とは

退職給付引当金とは、従業員が将来退職した場合に支払う予定の退職金に備えて、従業員の在職期間中から毎期費用を計上しておくものです。
会計上の正確な定義としては、「退職給付債務に未認識過去勤務債務及び未認識数理計算上の差異を加減した額から年金資産の額を控除した額」とされています。
退職給付債務とは、従業員が退職した場合に支払いが見込まれる退職一時金と企業年金の総額のうち、決算日時点で既に発生していると認められる額から金利相当額を差し引いたものです。
年金資産とは、会社が適格退職年金などで外部に積み立てているものを指します。
この計算は非常に複雑で、上場企業であっても、自社で計算できない会社が少なくありません。多くは、生命保険会社などに計算を依頼しています。
中小企業の場合にあっては、簡便法と呼ばれる方法で退職給付債務を計算し、退職給付引当金を計上しています。
簡便法であれば、従業員全員が決算日に退職した場合に支払う退職金の額を退職給付債務とする方法などが認められています。この場合、退職給付引当金として、決算書の負債の部に計上される金額は、決算日時点で支払わなくてはならない退職金の金額を示していることになりますので、理解が容易です。

退職給付引当金の税務上の取扱い

従業員に対して退職一時金や企業年金を支払う会社にあっては、この退職給付引当金を必ず計上しなくてはなりません。それに伴い、従業員の在職中から毎期退職給付費用を損益計算書に費用として計上しなくてはなりません。
しかし、税金を計算する上で、この退職給付引当金(退職給付費用)は費用(損金)として認められません。
税法上は、従業員が退職し、退職金一時金を支給した事業年度に、支給した額が費用(損金)として認められます。企業年金については、退職給付引当金の計上と関係なく、年金の掛け金を拠出した事業年度に、掛け金を拠出した額が費用(損金)として認められます。

経過勘定の計上

社屋の火災保険料などは、一般的に1年分をまとめて前払いします。そのため、事業年度の途中(例えば3月決算の会社で10月)に支払った1年分の火災保険料は翌期分(4~9月分)の保険料を含んでいますので、決算において全額を費用として計上することはできません。
期間対応を正しく調整するために、翌期分(4~9月分)の保険料は資産に振り替えて決算を行い、翌期にあらためて費用として処理します。
これを前払費用といいます。
前払費用に限らず、すべての費用及び収益は、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければなりません。そうでなければ、損益計算書が企業の経営成績を正しく表示しないためです。
このような調整を行う目的で計上されるのが、経過勘定です。
経過勘定には、前払費用、前受収益、未払費用、未収収益の4つがあります。
ただし、1年以内に提供を受ける役務にかかる支払い額を「短期前払費用」といい、これについては、支払った金額を支払った期に全額費用(損金)とすることが税務上認められています。そのため、多くの会社では短期前払費用に限って、支払い時の費用として処理しています。

仮払金の精算

決算にあたっては、仮払金の精算を営業部員などに求めます。
仮払金については、営業部門などの経費の概算払いのほかに、期中に支払いを行ったまま、経理処理方法を決めていない支出が計上されていることがあります。
このような、処理保留の支払額についても、決算に際しては整理が必要です。費用とすべきものは費用に振り替え、回収が見込まれる立替金についてはその回収可能性を吟味した上で、資産計上します。

仮受金の精算

会社に入金されたものの、その経理処理が保留されたままの収入金額については仮受金勘定に計上された状態で決算を迎えることとなります。
これについては、その内容を精査して収益または金銭債権の回収として経理処理することになります。
仮受金の内容が不明なまま長期間放置される場合には、雑収入で収益計上することも検討します。

仮勘定をゼロにする

売掛金の消し込み作業などをコンピューターシステムを用いて大規模に電算処理する会社の場合、消し込み作業にあたって仮勘定を用いることがあります。
この仮勘定は、原則として貸借がバランスして残高ゼロの状態でなくてはなりません。
決算にあたっては、仮勘定に残高が残っている場合、その原因を究明して、残高ゼロになるよう経理処理します。

税金の申告をする(法人税等・消費税)

会社の利益に対しては、法人税が課されます。ただし、会社の利益に対して課される税金は法人税だけではありません。
一般に会社の利益に対して課される税金を「法人税等」といいますが、法人税等には、法人税、法人市町村民税、法人道府県民税及び法人事業税の4種類の税が含まれます。
税務申告にあたっては、法人税の申告書を本店所在地等を管轄する税務署に、会社の事業所等がある全国の市町村役場に法人市町村民税の申告書を、会社の事業所等がある全国の都道府県(都道府県税事務所)に法人道府県民税と法人事業税の申告書を提出します。法人道府県民税及び法人事業税の申告書は1枚の用紙にまとめられています。
東京都23区内の法人は都の特例として、市町村民税相当分も併せて都民税として都税事務所に申告します。

法人税等の計算

法人税の額は、所得金額に税率を乗じて算定します。
法人税額 = 所得金額 × 税率
法人市町村民税と法人道府県民税は、それぞれ均等割と法人税割の合計額で求められます。
均等割は、会社の資本等の金額と従業員数に応じて納めるものです。赤字の会社であっても納めなければなりません。
法人税割は、国に納付する法人税額に一定の税率を乗じて計算します。
法人市町村民税額 = 均等割 + 法人税割
= 均等割 +( 法人税額 × 税率 )
法人道府県民税額 = 均等割 + 法人税割
= 均等割 +( 法人税額 × 税率 )

所得の計算

税額の算式中にある「所得金額」は会社の税引前当期純利益に近いものです。
ただし、税法上の課税所得と、会計上の税引前当期純利益とはよく似ていますが、必ずしも一致しません。
会計上の利益が、収益から費用を差し引いて計算するのに対して、法人税法上の所得は、益金から損金を差し引いて計算します。
会計 → 利益 = 収益 - 費用
税務 → 所得 = 益金 - 損金
収益と益金はほぼ同じものですが、その範囲は完全には一致しません。例えば、会社が受け取る配当金は会計上収益ですが、税務上の益金には該当しません。
費用と損金もほぼ同じものですが、その範囲は完全には一致しません。例えば、資産の評価損は会計上費用ですが、税務上は原則として損金に該当しません。
税務上の所得を計算する際には、会計上の利益をベースとして、収益と益金、費用と損金の差異を調整して所得を求めます。

事業税の計算

法人事業税の計算も、基本的には、所得金額に税率を乗じて算定します。
法人事業税額 = 所得金額 × 税率
ただし、資本金1億円超の会社に対しては、外形標準課税が導入されました。外形標準課税とは、会社の所得だけでなく、その付加価値等をも課税標準として税を課すものです。赤字の会社であっても、その規模によっては事業税の負担が生じることになります。

法人税の納付

法人税等の納付期限は、原則として決算日の翌日から2ヶ月以内とされています。期限内に納税しなかった場合には延滞税などのペナルティが課されます。
経理部門では、法人税等の申告書を作成、提出するだけでなく、法人税等の納付に備えて、資金を手当てしておくことが必要です。
利益を内部留保することで納税資金がまかなえる場合は特に問題ありませんが、運転資金がかさむ場合などには、金融機関からの借入れなども検討しなくてはなりません。
金融機関は納税資金については、6ヶ月以内の短期の貸し付けとして応じてくれることが多いのですが、事前に必要額などを伝えておき融資を受けられるめどを付けておくことが望まれます。

翌期の中間申告

法人税額が20万円を超えた場合、翌期に中間申告が必要となります。決算から6ヶ月を経過した日から2ヶ月以内に中間申告書を提出します。
中間申告には2つの方法があります。
ひとつは、仮決算を行い中間申告する方法です。この方法ですと、6ヶ月間の営業成績に基づいて中間申告の税額を計算するため、営業成績が低調な場合には納税の必要がなくなることもあります。ただし、実際に決算作業を行わなければなりませんので、普段、中間決算を行っていない会社であれば、事務作業が大きな負担となります。
もうひとつは、前事業年度の法人税の実績による予定申告です。この方法は、前事業年度の2分の1(前事業年度が1年より短い場合は、月数按分)を中間申告の税額として納めるものです。中間決算を行う手間が省け事務作業の負担がありません。ただし、前事業年度の所得水準が高い場合には、納税資金の準備が負担になります。

消費税額の計算

納付する消費税の額は、課税売上にかかる消費税額から、課税仕入にかかる消費税額を差し引いて計算します。
消費税額 = 課税売上にかかる消費税額 - 課税仕入にかかる消費税額
ここで、課税仕入にかかる消費税額として、課税仕入にかかる消費税全額を控除できるのは、課税売上割合が95%以上の場合に限定されます。課税売上割合が95%未満の場合は、その課税売上割合に応じて課税仕入にかかる消費税額を減額します。
また、基準期間(2年前の事業年度)の課税売上高が5,000万円以下の事業者については、届出書を提出することで簡易課税制度の適用を受けることができます。
簡易課税制度とは、課税売上高にかかる消費税の金額に、みなし仕入率(業種ごとに90%~40%)を乗じた金額を、課税仕入にかかる消費税額として計算する方法です。

試算表を分析する

決算作業がほぼ出来上がった段階で、試算表を作成します。
通常は、会計ソフトを利用して記帳している会社がほとんどですので、会計ソフトで自動的に試算表をアウトプットすることができます。
試算表を作成したら、これを前事業年度の試算表や予算数値と比較します。
前事業年度の数値と比較して大きく変動している項目についてはその原因を分析します。また、予算数値とも比較して、差異の分析を行います。
比較することで、会社の動きが把握できるだけでなく、異常値から決算作業の誤りを発見することもできます。

サブコンテンツ

このページの先頭へ